隠した50億円は大統領選出馬資金? カルロス・ゴーンの「酒」と「女」と「社食ラーメン」

ビジネス 企業・業界 週刊新潮 2018年11月29日号掲載

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 かつて“永ちゃん”こと矢沢永吉が、「やっちゃえニッサン」と啖呵を切る威勢のいいCMがあったが、このたび「やっちゃった」のは、日産自動車のカルロス・ゴーン会長その人だった。前代未聞の経済事件はなぜ起きたのか。その手掛かりは隠された彼の素顔にあった。

 まさに青天の霹靂であった。11月19日の夕刻、東京地検特捜部が、日産自動車のカルロス・ゴーン氏(64)を逮捕したのだ。

 司法担当記者によれば、

「容疑は金融商品取引法違反で、ゴーン氏と代表取締役のグレゴリー・ケリー氏の2人が、役員報酬を実際より少なく、有価証券報告書に記載していたんです」

 ゴーン氏といえば、毎年約10億円の役員報酬を手にする、文字通りの億万長者。だから、その過少申告のレベルも一般人の想像を遥かに超えていて、

「特捜部によれば、2011年から15年までの4年間に、ゴーン氏が報告した報酬額は49億8700万円。ところが、実際には99億9800万円もの報酬を受け取っていたことが分かったのです」

 実は、この“大捕物”の端緒となったのは日産の内部告発だった。そして、その背後に日産とフランス・ルノーの歪(いびつ)な関係があると指摘するのは、ジャーナリストの井上久男氏である。

「日産は1999年にフランスのルノーから6430億円の出資を受け、当時、ルノーの副社長だったゴーン氏を最高執行責任者に迎え入れました。その関係は今も続き、日産は現在もルノーに株式の約40%を握られている。結果、これまでにおよそ1兆円もの配当金が日産からルノーに支払われてきたんです」

 ところが20年の月日のうちに、日産とルノーの力関係は逆転。好調な日産に対して、ルノーは業績不振に喘ぐようになる。

「今や、ルノーの純利益のうち半分を日産からの利益が占めると言われ、日産にとっては、かつての救世主も“お荷物”に。ここ数年、日産の内部では反ゴーン派の役員を中心にルノーとの関係を見直そうとする動きが顕在化していたんです」(同)

 一方、日産に逃げられる訳にはいかないルノー側も国を挙げての抵抗に出る。

「ルノーはもともと国営企業で最大の株主は現在もフランス政府。だからフランスのマクロン大統領はゴーン氏に対して“絶対に日産を手放すな”と特別指令を出していたんです。ゴーン氏の存在が日産にとってマイナスになっている、そう感じた内部の人間がゴーン氏を放逐すべく内部告発に至ったのでしょう」(同)

 世界最大規模の自動車会社の経営者から一転、犯罪者となったゴーン氏。その人生はアマゾン川の支流が流れるブラジルのポルトベーリョという町で始まった。

 経済誌記者によれば、

「彼は両親がレバノン人で祖父の代にブラジルへ渡ってきた。大学はフランスのパリ国立高等鉱業学校へ進み、卒業後はフランスの世界的タイヤメーカー・ミシュランに就職するのです」

 この頃から自動車に縁があったゴーン氏はミシュランで18年の時を過ごす。

「ところが、ミシュランは同族企業。一生ナンバー2でいいのかと自問自答したゴーン氏は、ヘッドハンティングに応じてルノーに転じたのです。そこでコストカッターとして頭角を現したゴーン氏は、前述の通り、99年に日産の経営者として迎えられ、日産をV字回復へと導いた。その後、ルノー、日産、三菱自動車で会長を務めるカリスマ経営者となった」(同)

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