深田恭子 30代半ばの「キョトン顔」が愛されるワケ

エンタメ 芸能 2018年11月22日掲載

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 どんな役をやっても同じ雰囲気、と揶揄される筆頭タレントは木村拓哉や石原さとみが挙げられるが、深田恭子も実はこのライン上にいるように思う。

 30半ばを過ぎたとは思えない童顔で、甘えたような声としゃべり方。ほどよく丸みを帯びたボディラインで、おっとり愛され女子のイメージを不動のものにしている。最近は演じる役もほぼ同じだ。ちょっとどんくさくて、お人よしで、ひっどーいと言いながら頬をふくらませるような。そして人の好意や思わぬ反応にキョトンとした顔をする。深キョン、いや深キョトンと言ってもいいが、どの役もたいがいこの顔のオンパレードである。

「神様、もう少しだけ」というドラマで、金城武と濃厚なキスをする女子高生役だった深キョンももう36歳。とはいえ人気は変わらずで、来年1月からの新TBSドラマ(火曜夜10時~)でも主演らしい。あいかわらずドジっ子の役だというから、彼女の得意技・キョトン顔が炸裂しまくるだろう。

 それにしても彼女の旬は長い。主演作が途切れないだけでなく、女性が選ぶ「なりたい顔ランキング」でも、並いる若手女優を抑えて上位にランクインし続けている。男女ともに好きな芸能人1位とは言わずとも、そんなに嫌いではない、という人が多いのではないだろうか。長く業界とお茶の間に愛され続ける深キョン。ファン層がどこにいるか今ひとつよく見えないが、なぜかいつもイイ女枠にいる篠原涼子の立ち位置にも似ているように思う。

愛され続けるキョトン顔の技術

 芸事は、変わらないように変わり続けるのが大事と聞く。変わった、と受け手側に感じさせる理由が進歩の場合もあれば、進歩せずに時代に取り残されている場合もあるからだ。つまり深キョンのキョトン顔は、おそらくだが、変わらないように変わり続けているのだろう。

 思い出したのは「タッチ」を描いた漫画家・あだち充作品のヒロインたちである。昨年、あだち作品の「ヒロイン総選挙」をやった際、38人のヒロインたちの顔が似すぎており、見分けがつかないことで話題になっていた。いちばん有名な「タッチ」の浅倉南も同様である。しかし編集部によれば、よく見るとヒロインの輪郭や黒目の大きさが全然違うというのだ。

 このあだち充ヒロイン理論は、深キョンにも言える。愛されるキョトン顔は変えずに、キャラの輪郭を変えていくという技術。たとえば、「神様、もう少しだけ」でギャル役だった頃は、眉も細く、長く水泳をやっていた体はやや浅黒く、がっちりとした印象だった。つまり、現在のおっとりふんわり愛され女子とは正反対のイメージだったが、世の中は女子高生ブームの最後の年くらいだったので、その容姿は時代にハマっていたと言える。さらに、「恭子の前々世はマリー・アントワネット」などと天然ぶりを爆発させていた時期もあれば、映画「ヤッターマン」でドロンジョを演じたり、セクシーな役柄が続いた時期もある。キツめのギャルから不思議ちゃん、そしてセクシーイメージから愛され女子へ。どの時代でもキョトン顔を決め顔にしつつも、キャラの輪郭を時代に合わせてマイナーチェンジしていく技術。そうして浅倉南ばりの長く愛される人気を築いているのではないだろうか。

 何より重要なのは、セルフイメージに無頓着そうな様子である。痩せすぎず丸みのある体や、酒豪だったり、日焼けした体でサーフィンをしたり、いわゆる愛され女子の王道ではない姿を発信してけろっとしている。SNSでも女優や俳優との交流があまり見られない代わりに、吉田沙保里やいとうあさこと楽しげに飲んでいる写真が好感度を集めているそうだ。

 気取らずマイペースにキョトン顔。無意識に男心を振りまわす「タッチ」の浅倉南が重なる。2人とも自分のことを名前で呼ぶし。男性が選ぶ「不倫したい女性タレントランキング」という良いんだか悪いんだかわからないアンケートで首位を獲得するのもうなずける。

 思うに、吉岡里帆しかり、藤原紀香しかり、女子から支持を集めにくいとされている女性は、「頑張っているわたし」を発信しすぎている。吉岡はいつも健気に頑張っている役ばかりだし、紀香は常にノリノリノリカである。 周りがどんなに、そっちじゃない、戻ってこい!と言っても彼女らは持ち場と信じた場所を動かず、「頑張るかわいい私」を発信し続ける。むしろ得意技を守りたいなら、時代に応じてマイナーチェンジし続ける深キョンメソッドが必要なのに。そんなことを言ってみたとしても、深キョンはまたキョトン顔をするんだろうな。

(冨士海ネコ)