ベネズエラ戦の「翔タイム」 中島翔哉が大久保嘉人を激怒させたFC東京時代

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練習の虫は「サッカーは楽しむもの」の哲学

「It’s Sho time!(イッツ・ショータイム)」――MLBエンゼルスに所属し、ア・リーグの新人王を獲得した大谷翔平(24)のことではない。サッカー日本代表の中島翔哉(24)のことだ。

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 中島「翔」哉は10月16日のキリンチャレンジ杯で、W杯2度の優勝を誇る南米の古豪ウルグアイを相手に先制点をアシストしただけでなく、得意のドリブルでマーカーを翻弄。そして11月16日の対ベネズエラ戦(大分スポーツ公園総合競技場=大分銀行ドーム)でも再び華麗なドリブルを披露して3万3364人の観衆を魅了した。

 まずは前半3分、右サイドの堂安律(20)からのパスを左サイドで受けると、得意のカットインからループシュート。これはゴール右上に外れたが、日本の初シュートを放つ。前半34分には大迫勇也(28)のスルーパスに抜け出しGKと1対1の絶好機を迎えた。しかしGKラファエル・ロモ(28)の鋭い出足に至近距離からの一撃はブロックされてしまう。

 それでも前半39分、右サイドのFKから酒井宏樹(28)の代表初ゴールをアシストする。ウルグアイ戦の南野拓実(23)の先制点に続く連続アシストだ。前日のミックスゾーンでも、「ゴールに絡むことが自分たち攻撃陣の役割ですし、ゴールを決められるところでしっかり決める。アシストできるところでしっかりアシストするというのはやりたいと思っています」と言っていたように、大仕事をさらりと決めてしまうあたり、伊達に日本代表の背番号10を背負ってはいない。

 ちなみに試合後の中島は、曲がりながら落ちるクロスは「狙い通りです」と言いつつ、GKにブロックされたシュートも「狙い通りです」と涼しい顔で振り返っていた。例えミスをしても、それで落ち込んだり悔やんだりはしない。

「まずはサッカーなのだから、スポーツなのだから楽しむというものなので、そこを大事にしていきたいと思います。マイナス点があったら、もっといいプレーができたと思うようにしています」というのが中島のサッカー観でもある。

 その後もペナルティーエリア付近で2人のDFの間をドリブルですり抜けようとしたり、3人がかりのマークであってもパスではなくドリブル突破を選択したりした。後半8分は大迫が胸で落としたパスをワンタッチでDFのまたを抜いて堂安にパス。11分には左タッチライン際でボールを浮かせて南野につないだ。

 こうした意外性に富んだ中島の何気ないプレーに、スタジアムの観衆も「オッ」と沸く。まさに中島の「翔タイム」だ。そんな中島とアンダー世代からのチームメイトで、16年のリオ五輪でも共に戦った南野は「ボールを持ったら誰よりも上手いのを知っている」と一目を置く。

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