織田裕二「SUITS/スーツ」の第5話視聴率が“奇跡のV字回復” その原因は?

芸能2018年11月12日掲載

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“押し番組”の効果

 フジテレビの“月9”として10月8日からスタートした「SUITS/スーツ」。視聴率の低迷が報道されてきたのは、ご存知の通りだ。ところが、11月5日放送の第5話で、突然、V字回復を果たして話題になっている。

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 織田裕二(50)と鈴木保奈美(52)の2人が、「東京ラブストーリー」以来27年ぶりに共演するということもあり、初回視聴率は14.2%(ビデオリサーチ調べ・関東地区:以下同)と好スタートを切った。

 17年には同じ“月9”の「コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命― 3rd season」が初回視聴率16.3%を叩きだしている。「SUITS/スーツ」の数字は、近年の同枠では、これに次ぐものだ。気の早い向きは「フジの月9が復調か」と注目。ネットには以下のような記事も掲載された。

◆「織田裕二が着こなす“特注スーツ”が注目される フジテレビ『月9』高視聴率のワケ」(AERA dot.:10月22日)

 だが、その後は数字を落としていく。第2話は11.1%、第3話は10.3%、第4話8.9%という具合だ。あっという間に1桁台になると、今度は次のような記事がネット上にアップされる。

◆「『SUITS』視聴率続落1桁台突入…天才的記憶力とのキャラ設定“無視”の不可解な脚本」(Business Journal:10月30日)。

 こうなると普通は低迷を続け、「囁かれる打ち切り説」と報じられるのが定番だった。しかしながら、「SUITS/スーツ」は踏みとどまるどころか、挽回を果たす。第5話の視聴率は11.8%。第2話も超える数字に、さっそく分析記事も掲載された。

◆「『SUITS/スーツ』視聴率が2ケタ台復活の背景は『しゃべくり007』と『バイキング』」(リアルライブ:11月6日)

 ちなみに、このタイトルは「@ニフティニュース」に転載された記事のものだ。また「しゃべくり007」(日本テレビ系列)は通常、毎週月曜の午後10時から午後11時までの放送だが、タイトルにあるのは、10月29日の午後9時からオンエアされたスペシャル版を指している。

 以上の2点を踏まえていただき、記事のポイントを箇条書きさせてもらおう。

【1】10月29日に放送された第4話の裏番組として、日本テレビ系列では、午後9時から「しゃべくり007 SP」が放送された。元貴乃花親方の花田光司氏(46)がゲスト出演し、平均視聴率は15.2%に達した。

【2】11月5日の第5話の裏番組も、日本テレビ系列では、やはり特番の「くりぃむしちゅーの!レジェンド2018」だった。視聴率は13.3%と悪くなかったが、「しゃべくり007 SP」ほどの威力はなく、「SUITS/スーツ」に視聴者が戻った可能性がある。

【3】同じ5日の「バイキング」(フジテレビ系列:月〜金・午前11時55分〜午後1時45分)で、司会の坂上忍(51)が織田裕二との不仲説を否定。「SUITS/スーツ」にも注目が集まった。

 だが、全く別の理由を挙げるのは、あるドラマ制作スタッフだ。「前日の日曜、11月4日に放送された“押し番組”が成果を挙げたのだと思います」と指摘する。

「最近はドラマを放送時間に見る視聴者が減少しています。録画視聴=タイムシフトや見逃し配信=オンデマンドの充実で、自分の好きな時間に再生する人の増加が止まりません。そのため地上波ドラマは、リアルタイムの視聴率を取りにくい時代になっています」

 ちなみにフジテレビ「SUITS/スーツ」の第1話は、例えばFOD(フジテレビオンデマンド)で有料視聴が可能で、無料のキャンペーンもある。原作のアメリカ版「SUITS」第1話は、Amazon.co.jpのプライム会員であればPrime Videoで無料視聴できる。

「ところがテレビ局にとっては、『ドラマをリアルタイムで視聴してもらうこと』は生命線です。もうこれ以上、地上波からCMスポンサーが離れていくのを、黙って見ているわけにもいきません。何としてでも視聴者の方々に『放送時間にチャンネルを合わせてもらい、CMと共に見てもらう』必要があります。様々な対策を講じていますが、その中の1つが“押し番組”なんです」(同・ドラマ制作スタッフ)

「SUITS/スーツ」の第4話が放送されたのは10月29日。そして11月4日の日曜、午後4時から、フジテレビで「SUITS/スーツ 1~4話全て見せます!スペシャルダイジェスト!」が放送された。これが“押し番組”だ。

「連ドラは、たった1度でも見逃してしまうと、大半の視聴者は翌週の回を見ません。そこでテレビ局は、再び視聴してもらうために“押し番組”を制作し、土曜か日曜に放送します。平日は仕事などで午後10時台に帰宅するため、全く『SUITS/スーツ』を見ることができない会社員でも、土日の夕方なら目にする可能性が上がります」(同・制作スタッフ)

 一般的に“押し番組”の作り方は2通りある。1つは単純な再放送で、もう1つはダイジェスト版の放送だ。

「フジテレビは、後者のダイジェスト版を選択しました。第1話から4話のあらすじ、見どころ、登場人物などを紹介し、まさにレースの周回遅れを一気に取り戻してもらうわけです。こうして今まで『SUITS/スーツ』を1度も見たことがない人でも、11月5日の月曜午後9時に、いきなり第5話から視聴することが可能になります」(同・制作スタッフ)

 近年になって“押し番組”が編み出した手法に、次週予告のPRスポットを何度も流すというものがある。見たいという意欲をかき立てるための戦略だ。

「11月4日の番組で言えば、フジテレビには幸運が訪れました。関東地方は天気が優れず、在宅率が高かったんです。日曜の昼間に放送された民放各局の視聴率も好調で、外出せずにフジの“押し番組”を見た人も普段より多かったと考えられます」(同・制作スタッフ)

 こうして視聴率の3%アップを成し遂げたわけだが、どんなドラマでも“押し番組”を放送すれば必ず数字が上がる、というわけではない。

「『SUITS/スーツ』の場合は、やはり放送前から話題になり、第1回の視聴率が好調だったと報道されたことも大きかったと思います。『あのドラマを見ていない』と認識している層が、しっかり存在しました。そして天候という幸運にも恵まれたのは、先に触れた通りです。“押し番組”の恩恵を授かることのできるドラマは、そうそうあるわけでもありません」(同・制作スタッフ)

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