大塚家具“在庫一掃セール”で売上高アップ、「モルヒネ注射」はもう止められない?

ビジネス 企業・業界 2018年11月9日掲載

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 11月1日、大塚家具は10月の店舗売上高が前年同月比7.7%増だったと発表した。同社の売上が前年同月を上回ったのは、実に15カ月ぶりのこと。

“かぐや姫”と呼ばれる大塚久美子社長(50)が手腕を振るうようになってから、経営は悪化するばかりの同社だが、額面通り受け取るなら、おめでたいことこの上ない。しかし、そうは問屋が卸さない――。

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●大塚家具、全店売上高15カ月ぶりプラス セールが押し上げ(日本経済新聞・電子版:10月30日付)

●大塚家具、売上高7.7%増加 「在庫一掃セール」効果 10月の前年比(朝日新聞:11月2日付)

●大塚家具10月売上高 16か月ぶりプラスに 在庫一掃セール(読売新聞:11月2日付)

●大塚家具、15カ月ぶり売上高増 「在庫処分セール」貢献(産経新聞:11月2日付)

 1日の発表を受けて、新聞各紙には上記のようなタイトルが踊った。いずれも、売上が伸びた要因を、9月末から約1カ月開催した最大8割引を謳った「在庫一掃セール」と報じている。大塚家具も、販売好調を受けてセールの1カ月延長を決めた。

 事情通はどう見ているか。

「新聞も決して楽観的に見ているわけではなく、この一時的なセールが終わったら大変だという見方をしています。それはもちろんなのですが、いまこの時点を見ても大塚家具は危機的状況にあることに何ら変わりはありません。確かに数字上は、10月の店舗売上高は15カ月ぶりに前年比売上増にはなった。しかし、比較対象である昨年は72億5900万円の大赤字を記録した。その昨年と比べても、今年はずっと悪かったわけですが、セールをやっても前年同月比でたった7.7%しか売上が伸びなかったということのほうが衝撃的です」

 最大8割もの値引きをした出血大売り出しを、ひと月も繰り広げているのに、その売上は前年比の1割も超えていない。しかも、昨年10月といえば、72億円の赤字を出した年の中でも、前年(16年)と比べて71.8%の売上しかなかった最悪の月なのだ。そんな月と比較して、107.7%!と誇示しているわけである。では、45億6700万円の赤字を出した16年と今年(18年)とを比較してみるとどうなるか。

 前々年比の数字を見ると、なにも今年10月だけ特に売上が伸びたわけではない。むしろ10月の売上は、どちらかというと悪い部類に入るのだ。

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