元徴用工勝訴で韓国「ハンギョレ新聞」の異様 文在寅大統領の“野望”実現を後押し

韓国・北朝鮮 2018年11月7日掲載

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韓国で消滅した「司法の独立」

 東京通信大学の重村智計教授(73)は「3紙の論調は、ある意味で当然だと言えます」と指摘する。

「最左派のハンギョレ新聞は、読者層と文在寅政権の支持層が重なります。元徴用工裁判では政権と一体化した報道を積み重ねてきました。日本に対して最も強硬的な論調になるのは必然でしょう」

 これに対して朝鮮日報と中央日報の2紙を、重村教授は「親日ではなくとも、知日とは言える新聞社です」と評する。

「2紙には日本語が堪能な記者も少なくありません。日本への取材を長年、積み重ねてきた実績を持っています。もっとも最近では、日本を知らないデスクや現場記者も増えてきたようで、ピントの外れた反日的な記事も掲載されています。とはいえ日本への視点は比較的、冷静だと言えます」

 だが、判決に対する論調の違いは、そもそも3紙における対日観の差異が原因ではないという。「むしろ文在寅大統領(65)への“評価”が大きく反映している」と重村教授は言う。

「実は今回の判決は、韓国の国内政治に与える影響が極めて大きい。支持率の低下に悩む文在寅政権に対する追い風になる可能性があるからです。文大統領の目標の1つに、大統領2期制の実現があります。現在は1期5年と定められた憲法を改正しようとしているのです。そのためには高い支持率が必要であることは言うまでもありません」

 昨年5月の就任当初、文大統領は8~7割台の支持率を誇っていた(世論調査会社・韓国ギャラップ調べ)。だが経済政策の失敗などから、11月5日は55.6%にまで低下。5週連続の下落と、不支持率の39.1%が注目されている(世論調査会社リアルメーター調べ)。

 韓国の政界では、不支持率が40%で「危険水域」と判断されるという。まさに文政権が崖っぷちに位置していることが分かる。

「文大統領の支持層は、日本に対して強硬な政策を評価します。文大統領は今回の判決に向け、着々と準備を進めてきました。8月に最高裁長官として革新系とされる地裁所長を抜擢。さらに判決は10月30日でしたが、その直前の27日、徴用工裁判の判決を遅延させたとして、最高裁の前幹部を逮捕しました。あまりにも分かりやすい既定路線は、はっきり言って田舎芝居のような馬鹿馬鹿しさでした」(同・重村教授)

 つまり「これは田舎芝居だ」と呆れているのが朝鮮日報と中央日報、文大統領の再選を目指してヒートアップしているのがハンギョレ新聞ということになる。

「私の知る韓国人は、『韓国に司法の独立なんてありません』と冷笑します。朴槿恵政権に忖度して判決を遅らせたことは事実ですが、文政権が喜ぶ判決を下したことも事実です。韓国の司法が一貫して政権寄りの判断を下すことが、これで明らかになってしまったのです。司法の自殺と言っていいでしょう」(同・重村教授)

 ドイツのヴァイツゼッカー第6代大統領(1920~2015)が、85年に連邦議会での演説で、「過去に目を閉ざす者は、現在に対してもやはり盲目となる」と訴えたのは有名だ。

 では「過去を改変しようとする者」は、現在に対してどのような態度で臨むのか、文大統領に訊いてみたいものだ。

週刊新潮WEB取材班

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