片山さつき地方創生相にもう一つの財務省「口利き疑惑」 パチンコ業者めぐり

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“偽装退職”

 実は、片山大臣とお抱え税理士である南村氏のコンビには、もう一つの“口利き疑惑”が持ち上がっている。

「長野市の金属加工会社の問題が報じられて間もなく、財務省でも口利きがあったという話が流れたのです」

 とは、財務省関係者である。

「それは、大阪のパチンコ業者にまつわるものでした。そこは、スポーツ選手のスポンサーになるほどの大手。でも、現在、パチンコ業界を取り巻く環境は悪化の一途を辿っています。大手といえどもご多分に漏れず、経営悪化で苦境に喘いでいる。そのため、銀行に融資を申し込んだのですが、すげなく断られた。そこで、南村さんを窓口にして、片山大臣に“融資が受けられるように”と陳情したそうです」

 すると、片山大臣は最初に、古巣の財務省の幹部に電話をかけたという。

「片山大臣は、“金融庁の銀行担当に橋渡しをしてもらいたい”と頼んだということです。そして、その幹部は、実際に橋渡しをしました。なので、現在、省内では“大丈夫か?”“問題にならないか?”という声が上がっているのです。でも、結局、金融庁の銀行担当がどのように対応したのかはわかりませんが、パチンコ業者には銀行の融資は実行されなかったと聞きました」(同)

 片山大臣の口利きには、なかなか実績が伴わないようである。

 そこで、彼女に取材を申し込むと、

「ご質問のような働きかけは承知しておりません」(事務所)

 とのこと。

 そもそも、片山大臣は「小泉チルドレン」からスタートし、衆院1期参院2期を務め、ようやく閣僚の座を手に入れた。

 前出の政治部デスクが語るには、

「以前から、片山さんの“大臣になりたい病”は凄まじいものがありました。安倍首相に、“大臣にしてほしい”と直談判するほどです。あからさまな猟官運動に安倍首相は辟易し、一時期、彼女と距離を置くようになっていた。ただ、片山さんの所属する二階派の幹部は、“南村秘書を抱えていることが身体検査にひっかかり、大臣になれないのではないか”と本人に伝えていたみたいです。そのため、片山さんは参院の2期目に入る前後に、南村さんを切った格好を取ったのです」

 しかし、それは、いわば“偽装退職”だったという。

「それ以降もしばらく、南村さんは片山事務所の仕事を続けていました。今回の内閣改造で、女性活躍推進を掲げる安倍首相としては、1人くらいは女性を登用しなければならなかった。でも、閣僚に相応しい人材はすでに枯渇し、片山さんくらいしか残っていませんでした。南村さんを切り、政治とカネの問題も払拭したということで、安倍首相は彼女を閣僚に抜擢した。ところが、結局、疑惑として出てきてしまったというわけです」(同)

 その結果、10月24日から始まった臨時国会では、野党からすれば、片山大臣が最大のターゲットになるという。

「執拗な追及を受けて、片山さんがまともに答えられるわけもないので国会が紛糾するのは間違いない。挙げ句、南村さんはじめ、片山さんが“口利き電話”をかけたとされる元関東信越国税局の局長も国会招致を求められることになるはず。すでに、URを巡る口利き疑惑で経済再生相を退いた甘利明代議士のケースと同じだからと、片山さんもやめざるを得なくなるという見方も出ています」(同)

 エリート街道を驀進してきた片山大臣にとって、初の躓きが二度と立ち上がれないほどのダメージになりそうである。

週刊新潮 2018年11月1日号掲載

特集「『安倍内閣』の時限爆弾」より

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