片山さつき地方創生相にもう一つの財務省「口利き疑惑」 パチンコ業者めぐり

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脱法的な手口

 ただ、片山大臣のように、財務省出身の政治家が税理士を秘書に置くというのは、よくあることなのだという。

 永田町関係者が解説する。

「財務官僚上がりの議員には、当然のことながら、税務関係の陳情が多く寄せられる。警察OBの議員に、交通違反関係の陳情が来るのと同じことです。その際、税理士を秘書に置いておき、陳情の対応に当たらせる。そして、その見返りは、献金ではなく、秘書兼税理士がコンサルタント料として受け取るのです」

 コンサルタント料とするのはいかにも脱法的な手口で、政治資金規正法が定める上限以上の金額を受け取ることができ、しかも、御法度である外国人からのお金も問題にならないからだという。

「例えば、かつて瀬戸内地方の大蔵OBの議員が、地元でそこそこ名の通った税理士を事務所スタッフにしていました。税務関係の陳情が来ると、その税理士を紹介するというかたちを取っていた。そして、税理士が陳情者から報酬を受け取ると、議員のパーティー券を購入したり、事務所運営費の一部を肩代わりすることで還流させるわけです。また、その議員は永田町に茶道具を扱う会社を持っていたので、高額な陶磁器を陳情者に買わせるようなこともしていました」(同)

 さらに、バブルの真っ只中に起こった“明電工脱税事件”もその例の一つ。

「明電工のオーナー、中瀬古功元相談役は、のちに東京地検特捜部に逮捕されることになるわけですが、大蔵OBの東力(ひがしちから)代議士から脱税対策を持ちかけられたと、メディアなどに証言しました。東京国税局の査察を受けたあと、旧知の東代議士から“良い税理士を紹介する”と電話を受け、着手金として1千万円を渡したと暴露したのです。当時、東代議士は、1千万円の受け取りを否定していましたが、永田町では大蔵OB議員による税理士を使った資金作りの一環だと見られていました」(同)

 結局、財務省OBである片山大臣も過去の例に倣って、お抱え税理士を持つことにしたというわけではないだろうか。

 もともと、南村氏は大和証券に勤める証券マンから、警察官僚OBの阿南一成元参院議員の事務所スタッフに転職。そして、07年、亀井静香元代議士らが立ち上げた国民新党から東京・港区の区議選に出馬し、落選している。

 一方、片山大臣も、09年の衆院選で落選の憂き目に遭ったものの、翌年、参院選に鞍替え出馬し、永田町に返り咲いた。

 南村氏が片山大臣の秘書になるのは、彼女が参院議員になってからのことだ。

 それに伴い、片山大臣が代表を務めるコンサルティング会社「片山さつき政治経済研究所」(現在は、「ケイライプ」に改称)の役員にも名を連ねたのである。

 ある自民党代議士の秘書が明かす。

「普段、南村さんは永田町の議員会館に詰めていました。そして、片山先生が外遊や出張するときには、大抵、南村さんが同行した。でも、片山先生は些細なことでもすぐに激怒するから、いつも上目使いのへりくだった態度を取っていた。見ていて、気の毒なくらいでしたよ」

 さらに、片山大臣の政党支部である「自由民主党東京都参議院比例区第25支部」、あるいは、「片山さつき後援会」や「税理士による片山さつき後援会」などの政治団体も、16年までは南村氏の港区麻布十番のマンションに置かれていた。

 つまり、片山大臣の側近中の側近だったのである。

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