孫正義、新井紀子の反論に沈黙… やりこめられた「AI弱者救済議論」

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 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(61)は目下絶好調である。その資産は2兆円超を誇り、今月4日には世界のトヨタとの提携を発表。名前とは異なり、「得」ばかりしてきた資本家だ。そんな成功者に立ちはだかる女性が現れた。彼女との「対決」で、孫氏は絶句する醜態を晒したのだ。

 イケイケの孫氏が、10月6日のトークショーで珍しくこう「愚痴」をこぼした。

「(既に収録済みの)その番組で、言い忘れたと思って『しまった!』と」

 彼が歯噛みしたのは、7日に放送されたNHKスペシャル「マネー・ワールド〜資本主義の未来〜」への出演に関してのことだった。「AI(人工知能)の未来」を扱った同番組で、彼は国立情報学研究所の新井紀子教授(56)と共演。彼女は東大合格を目指すAI「東ロボくん」の開発に携わる一方、AIの「限界」にも言及してきた論客として知られる。そんな彼女とのやり取りで、AIによって仕事を奪われる人々に話題が及び、孫氏が「AI弱者」を棚上げし、

「常に進化していく世の中を悲しいと思うか、楽しい、チャンス到来と思うかで結果は全然違うと思います」

 こう言い放つと、新井氏に反論されてしまったのだ。

「資本家が実際に仕事を奪われる人に対して、『それは気持ちの持ちようだ』とか『もっと気持ちを明るく持って何とかしたらどうなのか』と言うのは私は無責任だと思う」

 さらに「AI弱者」への救済措置として議論されているベーシックインカム(BI)について、その財源としてロボット税や法人税の引き上げといった資本家側の負担が求められていることに関し、孫氏はロボット税には反対と表明。ならばと、法人税引き上げには賛成なのかと迫る新井氏を前に彼はしばらく絶句してしまう。さらに彼女に、

「法人税を上げて、それでBIを支えてくださるんですか」

 こう畳掛けられると、渋々といった様子で孫氏は、

「法人税は必要ですよね」

 と答えざるを得ない事態に追い込まれたのである。

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