「吉田輝星」バブル崩壊? 球児が「阪神1位指名」敬遠のワケ TVには映らない「ドラフト」群像劇

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 プロ野球「ドラフト会議」が秋の風物詩となって久しい。野球、あるいはスポーツの枠を超えた「人間ドラマ」がそこに現れるからだが、今年はどうか。あのスター高校生の本当の評価は? 球児たちが忌避する人気球団は? テレビには映らない「金の卵」の群像劇。

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 昨年は、7球団から指名を受けた清宮幸太郎がドラフトの話題をさらったが、10月25日に行われる今年の主役は、何と言っても、金足農業の吉田輝星(こうせい)だ。

 夏の甲子園で予想を覆しての決勝進出。優勝した大阪桐蔭より注目を集めた。「超高校級」なんて記事も出たものだが、

「ここに来て、評価は急に落ちてきました」

 と言うのは、さるスポーツ紙の野球担当デスク。

「1位指名はあるにしても、複数から来るかどうか、というくらいでしょうか。甲子園の疲れを差し引いても、9月に行われたU18アジア選手権で、2戦とも打たれて負け投手になった印象が大きい。そもそも、甲子園の前まで彼の評価は『大会で一、二を争う投手』くらい。それが金足農業ブームで一気に『松坂大輔クラスの逸材』に膨れ上がった、言わば“バブル”」

 それが時間が経ってようやく冷静な評価に落ち着いたというワケなのだ。

「僕は今でも大学に進学すべきだと思っています」

 と、野球ライターの安倍昌彦氏も手厳しい。

「吉田は素晴らしい投手ですが、幼い部分も多い。例えば、スライダーの曲がりが早過ぎて、打者から見れば早めに変化球だと見切れてしまうんです。また、感情の起伏が激しく、態度や顔に気持ちがすぐ出てしまうのも弱点。プロの実戦で投げるより、まずは、大学でもっと追い込む練習を積んだ方が将来は伸びると思います」

 しかし、吉田はプロを選んだ。「巨人に行きたい」とも公言して物議を醸したが、

「その巨人も吉田には冷たかった」

 と、安倍氏が続ける。

「彼がプロ志望届を出して記者会見をした日、巨人は原辰徳さんに来季の監督要請をしました。翌日のスポーツ紙の1面は、ほとんど『原監督』で、吉田の記事は3面や裏面に追いやられた。吉田にはまったく気を使っていませんでしたね」

 初恋は片思いに終わりそうだ。

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