有村架純「中学聖日記」は視聴率惨敗 リアル教師の“モラル低下”が原因説

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過去は“人気コンテンツ”だった

 ほんの少しだけ過去に遡れば、「教師と生徒の禁断の愛」はヒット作が少なくない。男性教師でも女性教師でも“優良コンテンツ”として機能してきた。

 ウィキペディアには「教師と生徒の恋愛を扱った作品」というカテゴリーがある。小説、コミック、映画、テレビドラマと全てのジャンルが揃い、数えると96作品にのぼる。特に有名な4作品を紹介させていただこう。

【1】小説『若い人』(1937年:改造社) 著者:石坂洋次郎(1900〜1986)

 主人公は28歳で高校教師の間崎慎太郎。彼に迫る「早熟で退廃的な傾向を持つ」教え子が江波恵子。やはり間崎が魅力を感じる同僚の女性教師が橋本スミと、性別を逆転させれば「中学聖日記」と同じ三角関係だ。ネタバレになるが、慎太郎と教え子の恵子は結ばれ、女性教師のスミは自宅で左翼非合法活動の集会を開いて検挙される。

 映画は4本が制作されているが、有名なのは1962年の日活版。監督は西河克己(1918〜2010)。教師の間崎は石原裕次郎(1934〜1987)。教え子の恵子は吉永小百合(73)、同僚のスミ子は浅丘ルリ子(78)という豪華なキャスティングだ。

【2】漫画『おくさまは18歳』(集英社) 著者:本村三四子(74)

 テレビドラマが有名だが、原作漫画はアメリカのカレッジが舞台と全く違う設定。青年教師のリッキー・ネルソンと女学生のリンダ・ネルソンは結婚を隠して学園生活を送るというストーリーだ。

 テレビ版(1970年版)は、脚本家の佐々木守(1936〜2006)が原作を読み、舞台を日本の高校に移すことを発案。大映テレビ室に企画を持ち込みTBSで放送された。

 ヒロインである18歳の高校3年生・高木飛鳥を演じたのは岡崎友紀(65)。石立鉄男(1942〜2007)の高校教師と結婚し、夫が勤務する高校に転校する。学園長は新婚夫婦を祝福するも、教育上の配慮から2人の関係は秘密にしろと厳命。コメディタッチが人気を呼び、最高視聴率33.1%、全53話の平均視聴率も25%という数字を叩きだした。

【3】テレビドラマ「高校教師」(TBS系列:1993年1〜3月)

 野島伸司(55)が企画・原作・脚本を担当。教師と生徒の恋愛に加え、同性愛、レイプ、近親相姦、自殺――とテレビドラマには“タブー”な描写をてんこ盛りにしたスタイルは賛否両論を巻き起こした。

 高校の生物教師は真田広之(58)、高2のヒロインは桜井幸子(44)が演じた。最終回の視聴率は33.0%、平均視聴率は21.9%、数字以上に社会的反響の大きな作品だった。

 映画版は1993年に東宝系で公開。高校教師と女子生徒の恋愛というテーマは同じだったが、野島伸司が映画用にオリジナルシナリオを執筆。配役は唐沢寿明(55)と遠山景織子(43)に変更された。

 2003年1月からは続編の「高校教師」がTBS系列で放送された。やはり野島が脚本を担当し、主人公は藤木直人(46)、ヒロインは上戸彩(33)が演じた。平均視聴率は10.8%と低迷した。

【4】テレビドラマ「魔女の条件」(TBS系列:1999年4〜6月)

 私立高で数学を担当する女性教師と、転校生が恋愛関係に陥る。教師は松嶋菜々子(45)、男子高校生は滝沢秀明(36)が演じた。最終回の視聴率は29.5%、平均視聴率は21.5%。ちなみに「中学聖日記」の感想を記したツイートでも、このドラマに触れたものがある。

《#中学聖日記 見てると若干生々しくて、なんかこんなことしてていいのか私!?ってなるけど、#魔女の条件 のタッキーはなんかもう、この子とならそりゃ間違いたくなるわっていう謎の説得力があった》

 テレビ担当記者は「これまで人気を博したドラマや映画は、教師と高校生という設定が大半でした」と指摘する。

「『おくさまは18歳』も『高校教師』も『魔女の条件』も、全てTBSが制作しています。教師と生徒の恋愛という題材にTBSは自信を持っていたのかもしれません。『生徒が高校生では過去の作品と同じだ。中学生との恋愛なら新機軸を打ち出せる』と判断した可能性はあると思いますが、それが裏目に出たのではないでしょうか」

 高齢化社会に加え、若者のテレビ離れも進行している。テレビドラマの視聴者は40代以上が少なくない。特にメインの女性層には、同じ年頃の息子を持つ母親もいる。彼女たちが「生々しすぎる」と敬遠し、チャンネルを合わせなかったのかもしれない。

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