新ボクシングビジネスの申し子 70秒KO「井上尚弥」

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 プロボクシングの“真の世界王者”を決めるイベント、“ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)”をご存知か。

 ボクシングといえば、WBA、WBC、WBO、IBFと4団体があり、最近は暫定王者やらスーパー王者やらも林立し、王者といっても本当に世界一なのか眉に唾をつけたくなる。だが、WBSSは団体の枠を超え、それぞれの王者や実力者8人がトーナメント方式で潰し合うガチンコ勝負なのだ。

 昨年初めてスーパーミドル級とクルーザー級で行われ、賞金総額は約57億円だったWBSS。この度の“シーズン2”は3階級で開催される。そのうちの一つであるバンタム級の初戦が10月7日、横浜アリーナで行われた。WBAタイトルマッチを兼ねた、王者井上尚弥(25)と元スーパー王者パヤノ(34)との一戦だ。

「WBSSを仕切っているのは、世界的ネット配信サービスのDAZN(ダゾーン)。豊富な資金力のおかげで実現した夢のイベントです」

 とボクシングライターが語る。日本ではJリーグの中継を手掛けていることで知られている。

「ボクシングの試合につきもののトランクスやグローブの広告は禁止。代わりに選手には破格のファイトマネーが支払われます。今回の一戦での井上のファイトマネーは一説では1億円と囁かれています」

 試合の演出も独特だ。ボクサーはリングに上がる前に“お立ち台”でスポットライトを浴びる。リングには円状にライトが巡らされ、試合前からラウンドガールがリング上で色を添える。全世界に生中継されるため、名前のコールも勝利インタビューも英語である。

 さて結果だが、井上の1回1分10秒KO勝ち。日本人世界戦KO最速記録である。実働70秒で1億円ということは……無粋を承知で計算すると、“秒給143万円”ナリ!

「次の準決勝は来春にアメリカで開催される見通し。優勝すれば、パッキャオのようなファイトマネー数十億円のスーパースターになるかもしれません」

 秒給いくらになるのやら。

週刊新潮 2018年10月18日号掲載

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