森保ジャパン「南野拓実」は香川真司の後継者となるか パナマ戦で強烈アピール

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南野のプレーは見事

 基本フォーメーションは4-2-3-1もしくは4-4-2だが、試合中にボランチの青山が最終ラインに落ちて3BK(スリーバック)となり、両サイドのSB(サイドバック)を高い位置に押し出す3-4-3に変形。そしてSBから1トップの大迫にダイアゴナル(斜め)にパスを入れ、大迫のポストプレーからトップ下の南野経由で中央突破やサイドへ展開する攻めだ。前半22分、佐々木のパスは大迫がオフサイドとなったが、練習で見られた攻撃パターンだった。

 次は視野が広く、瞬時の判断に優れる青山を起点にしたカウンターだ。前半23分、青山のパスに右サイドを抜け出した室屋はGKと1対1のチャンスを迎える。「だいぶ時間があったので、グラウンダーか浮かすか迷った」。室屋のクロスは大迫と伊東に合わず、「(シュートを)打った方が良かった」と悔やんだが、この試合で最初の決定機は青山のフィードからだった。

 それでも前半42分、パナマ陣内でパスカットに成功した青山の素早いフィードに南野が抜け出し、GKとの1対1を確実に決めて先制点をもたらす。青山のパスをDFの間で受け、相手のチャージを体でブロックしながら左にドリブルしてシュートのコースを作った南野のプレーは見事としか言い様がない。

 南野は伊東の2点目につながるシュートを放つだけでなく、原口と前後の関係になって左サイドからの突破を試みたり、大迫との2トップから大迫を追い越して前線に飛び出したり、右サイドでは少年団時代のチームメイトである右SB室屋とのパス交換で日本の攻撃をリードした。

 森保ジャパンがスタートして2試合目。いまはまだ手探りの状態でお互いの特徴を生かそうと試行錯誤している段階ではあるが、攻撃陣のリーダーは南野であることを強烈に印象づけたコスタリカ戦でありパナマ戦でもあった。

 長らく日本の攻撃陣をリードし、ロシアW杯では日本のベスト16進出に貢献した香川真司は、所属するドルトムントで出番を失っている。このまま南野が香川の後継者となるのか、それとも11月のテストマッチで森保監督は香川を招集するのか。2人のライバル争いを見てみたいが、まずは16日のウルグアイ戦で南野がどんなパフォーマンスを発揮するのかに注目したい。

六川亨
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。『サッカーダイジェスト』の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後『CALCIO2002』、『プレミアシップマガジン』、『サッカーズ』の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月13日掲載

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