“華麗なる人脈”も虚しい「スルガ銀行」存亡の秋 

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金融庁は受け皿を

 スルガ銀行は、17年3月期まで5期連続の過去最高益を記録。そこで金融庁の森信親前長官は、手放しで岡野氏の経営手腕を評価していたほどだった。

「“かぼちゃの馬車”の躓(つまず)きで、スルガ銀行は存亡の秋を迎えているのです」

 こう分析するのは、銀行業界担当のアナリストだ。

「そもそもスルガ銀行は、“地銀の雄”と呼ばれる横浜銀行と静岡銀行の間に挟まれている。そこで2行があまり手を出さない個人ローンに特化したわけです。結果、個人ローンは総貸出金の約9割を占めている。その最たるものが“かぼちゃの馬車”関連だったので経営を直撃しました」

 当初、スルガ銀行は18年3月期決算の最終利益を210億円と公表した。だが、“かぼちゃの馬車”の運営会社「スマートデイズ」の破綻後、貸倒引当金を積み増して最終利益を69億円に下方修正したのだ。

 全国紙の経済部デスクが今後を占う。

「今回の件で、スルガ銀行から個人顧客が離れ始めている。すでに、金融庁は破綻に備え水面下で“スルガ救済”に動き始め、その受け皿には静岡銀行を筆頭に、横浜銀行を傘下に置くコンコルディア・フィナンシャルグループ、そしてりそなホールディングスなどの名が挙がっています」

 華麗なる人脈を誇る岡野氏も、会長の引責辞任だけでは許されそうにない。

「金融庁によるスルガ銀行への検査で、親族企業への私的流用が判明しました。今後は日銀が考査に入り、経営の全貌が解明されるはずです。その内容次第では、岡野さんが特別背任に問われる可能性もあるでしょう」(同)

 僅か40歳でスルガ銀行トップに就任した岡野氏。2年前、ストッパー役の実弟が死去して暴走が始まったという。

週刊新潮 2018年9月27日号掲載

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