YouTuberなめてる? 国民民主・玉木代表のチャンネル(KAZUYA)

国内 政治

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 プロレスは善玉のベビーフェイスと悪玉のヒールの対立構図が、抗争を繰り広げることによって盛り上がります。

 良いヒールがいなければベビーフェイスも輝きませんし、逆もしかりです。政治も似たようなところがあって、与党と野党の対立軸があって切磋琢磨するのが本来あるべき姿でしょう。

 安倍1強と呼ばれる今日このごろですが、何も安倍政権が強すぎるわけではありません。他が弱すぎるのです。

 自民党総裁選の陰でひっそりと行われた国民民主党の代表選。そもそも国民民主党ってなんだよと思う人もいるでしょうが、民進党が分裂し、希望の党に行った人たちと民進党残留組が中心となって出来た党です。立憲民主党との違いを見せられず、現状何がしたいのかよくわかりませんから、支持率も地を這っています。

 代表選挙で選出されたのは玉木雄一郎氏で、厳しい党勢をいかに立て直すかに注目が集まります。

 玉木氏は幅広い層へのアピールのためか、「永田町のYouTuberになる」と宣言し、実際に動画チャンネルを始めました。SNS、特に動画での発信が一般的であり有効であることは明白ですし、着眼点は良いと思います。それに党首クラスが自らやるというのもフットワークが軽くて好印象です。しかし致命的なのは、面白くないという点です。

 企画としては街で生活上の不満などを聞くというインタビューものなのですが、玉木氏は真面目すぎるため、全く笑える要素がありません。動画の長さは短くまとめているのに、面白くないので視聴者はドラゴンボールのミスター・ポポ並に無表情のままでしょう。動画は少しクスッとくる場面が必要で、それがないと中々再生数もチャンネル登録者数も伸びていかないのです。

 最初のうちこそニュースにもなって注目されたため、数万回の再生数になっています。しかし、今では1千〜3千回程度になってしまいました。

 個人的には「YouTuberなめてるだろ」と思ってしまいます。僕も約6年YouTubeでやってきましたが、いかに視聴者に楽しんでもらうか、中々頭をつかうところです。片手間にやっては人気も再生数も上がりません。このまま惰性で続けても、静かに注目もされずフェードアウトするのがオチでしょう。

 玉木氏は「あと4年くらいで政権を取りたい」と自身の政治資金パーティで述べていますが、とんだビッグマウスです。立ち位置もグラグラでマイクパフォーマンスはビッグマウス。それでいて試合は単調で面白くないというダメレスラーです。

 しかし国会議員という立場上、伸びる余地は無限にあります。例えば同僚議員にドッキリを仕掛けてみるとか。議員会館でメントスコーラ(コーラなどの炭酸飲料水のペットボトルにメントスを入れて、容器内の液体を噴水のように吹き上がらせる遊び)をやってみるとか(怒られるだろうけど)、企画はいくらでも考えられます。そうした企画で親しみを出しつつ、真面目な政策の話をわかりやすく解説していけば、意外さが逆に信頼感を増すでしょう。

 若手なので、一体どうなるか……まぁ厳しいだろうな。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者40万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2018年9月27日号掲載

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