ふるさと納税の返礼品に「EXILEグッズ」 東京・目黒区が練った秘策の効果は?

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5万円コースはすでに品切れ

 1カ月を経て、その成果はどうなっているのか目黒区に聞いてみた。

「現在、EXILEグッズのコースは1万円、3万円、5万円の3種類。1万円のコースは、2個セットのポーチとノートやペンなどの6点セット。これにTシャツ、タオル、トートバッグなどを加えた3万円コース。さらにパーカーを加えた5万円コースです。LDH Kitchenの利用券は1~5万円で4コースあります。ひと月足らずでグッズの5万円コースなどはすでに品切れとなっているので、好評いただいていると考えています」(目黒区役所)

 そもそもなぜEXILEなのか。

「LDHさんの拠点が中目黒ですので、地元企業ということで、ふるさと納税にご協力いただけないかと区の方から持ち込んだ企画です。東京には黒毛和牛があるわけでもありませんし、知恵を絞った結果です。目黒区の返礼品には、友好都市である気仙沼市(宮城県)や角田市(同前)の名産もありますが、それ以外は“オール目黒”で揃えています」(同)

 目黒雅叙園のスイートルーム宿泊コース(50万円、100万円コースあり)や、地元企業で、鉄道模型で名高いカツミの1/80のHOゲージ(100万円)なんてものもある。

 EXILEグッズには、ふるさと納税“限定品”などあるのだろうか。

「LDHさんからも、そういったご提案がありました。注目もされますし、効果もあるとは思いますが、転売などにつながる恐れも出てきます。オークションなどに出されますと換金性が出てきてしまうので、総務省が通知した返礼品に相応しくない“資産性の高いもの”となる恐れが出てきてしまうのです。返礼品は寄付金額の3割以内とすることになっていますし、限定品として大量に作った場合、区が買い取るのか、その場合、在庫管理はどうするのかといった問題も出てきます。そのためEXILEグッズは、全て市販されているものになっています。ただ、中には店舗に行かないと買えない商品もあるという仕掛けもあるんです」(同)

 EXILEにより目黒区の税収は潤ったのだろうか。

「8月1日から28日までを集計したところ、EXILE関連だけで382万円、北海道から九州まで118件の申し込みがありました。もちろん、これだけで流出した約16億円が取り戻せるとは思っておりません。ふるさと納税が始まったときの趣旨には我々も賛同しますが、約16億円も流出してしまうと、目黒区民にサービスが行き届かなくなります。不足している保育所だって、いくつも作れるわけですから。度が過ぎた返礼は、なんとかしていただきたいです」(同)

 特別区会長からの要望書もあり、行き過ぎた返礼品には総務省も問題と思っているようで、7月には、昨年度のふるさと納税の受入額が10億円以上で、返礼割合が3割を超え、地場産品以外の返礼品を送付しながら、見直す意向もない全国12自治体を発表した。

〈茨城県境町(21.6億円)、岐阜県関市(14.1億円)、静岡県小山町(27.4億円)、滋賀県近江八幡市(17.7億円)、大阪府泉佐野市(135.3億円)、福岡県宗像市(15.6億円)、福岡県上毛市(12.1億円)、佐賀県唐津市(43.9億円)、佐賀県嬉野市(26.7億円)、佐賀県基山町(10.9億円)、佐賀県みやき町(72.2億円)、大分県佐伯市(13.5億円)〉

 以上の12自治体、東京の特別区長会から恨まれてるかもしれませんよ。

週刊新潮WEB取材班

2018年9月7日掲載

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