iPS細胞治療の最新フェーズ ドパミン神経細胞移植で「寝たきりゼロ」、心機能を回復させる「魔法のシート」

ライフ週刊新潮 2018年9月6日号掲載

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不治の病に「iPS細胞治療」の最新フェーズ(1/2)

 iPS細胞が世に認知されて十余年が経つ。名付け親としてノーベル賞を授けられた京都大学・山中伸弥教授が論文を出したのが2007年。以来、再生医療への研究が本格化したが、今年は大きな進展が幾つもあった。専門医も驚嘆する最新フェーズを紹介しよう。

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「iPS細胞」の名は誰もが知っていても、いったい我々にどれだけ恩恵があるのか。細胞という目には見えないモノだけに、その実態はどうも分りづらい。

 今回ご紹介するのは、これまで不治の病とされてきた医療の常識を、iPS細胞を使った再生医療で克服しようとする人々の姿だ。

 2014年、理化学研究所などがiPS細胞から作製した網膜細胞の移植を行い、失明の危機に瀕する患者を対象にした臨床研究が始まったが、命にかかわる別の疾患でも、実用化に向けて大きな一歩が踏み出されようとしている。

 その一つが、今年8月1日から始まったパーキンソン病の患者への治験である。

 厚労省が指定する難病で、著名人ではボクシングの元世界チャンピオンであるモハメッド・アリ氏や、放送作家・永六輔氏が患い、ハリウッドスターのマイケル・J・フォックス氏は今なお闘病を続けているが、

「体の震えや筋肉のこわばりが起こり、重度になると寝たきりになってしまいます。治験をぜひ成功させたい、という意気込みで取り組んでいます」

 とは、研究を主導する京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門の高橋淳教授だ。

「国内にパーキンソン病の患者さんは約16万人いますが、iPS細胞を用いた細胞移植治療を行うことで、病気が進行して寝たきりになる人をゼロにしたい。治験段階では7例の移植手術を行い、治験終了後、新しい治療法として国に承認申請を行いたいと思います」

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