岡田准一「散り椿」特別賞でも… 親日「モントリオール映画祭」は今年で最後?

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モントリオール市が支援しない「モントリオール映画祭」

 華やかなる映画祭の裏に浮上する、金銭問題。その影響は上映にも表れていて、

「16年には、給与が支払われないことに業を煮やした主要なスタッフが、開催直前に一斉に辞めてしまったこともありました。その他にも技術者がストライキを行ったりして、いわゆる映画学校の学生が急遽代役を担うハメに。上映中に音声が出なくなったり、字幕のタイミングが合わなかったり、といった問題が相次ぎました。こんな有様ですから民間企業はスポンサーを降り、なにより“モントリオール”世界映画祭を名乗っておきながら、モントリオール市が支援を打ち切ってしまったのです」

 昨年は規模を大幅に縮小して開催。今年もなんとか12日間の開催期間を終えたものの、公式Twitterの更新が今年2月から止まっているあたりに、混乱の形跡は見て取れる……。

 こうしたトラブルの“元凶”と目されているのが、黒澤明監督ファンを公言する映画祭の主催者にして創設者、セルジュ・ロジーク氏であるという。

“日本びいき”批判

「“世界映画祭”を掲げているこのイベントは、世界の多種多様な作品が集うことを売りとしていて、元々儲かるタイプの映画祭ではありません。いわゆる発展途上国からの出品や、低予算の作品もありますからね。それを踏まえても、ロジーク氏のずさんな運営の弊害はあり、映画祭を報じる地元紙が氏を紹介する際には、“傲慢な”や“ワンマン経営者”といった表現で形容されていますね。もっとも今年は、地元紙ですら映画祭のことはほとんど報じておらず、終わりが近いことを示唆しています」

 地元メディア「モントリオール・ガゼット」は〈モントリオール世界映画祭が生き残るには、ロジーク氏がプライドを捨て、有能な誰かにきちんとした運営を委ねるしかない〉とも過去に報じた。だが年齢は90歳に近いロジーク氏は、こうした声にも耳を貸さず。そんなワンマンの好みは、受賞作にも多分に反映されていて、

「参加作品の選択や授賞には“日本びいき”との批判が根強くあります。実際、私が現地で取材した海外のメディアの人間も、ある日本作品の授賞には疑問を呈していましたね」

 実はそれは「散り椿」にも当てはまるようで、

「まず、祭のオープニング作品に選ばれていました。これはロジーク氏のお気に入りである証拠。加えて木村大作監督は、ロジーク氏が崇拝する黒澤監督の撮影助手としてキャリアをスタートさせた経歴の持ち主です」

 16年の「たたら侍」受賞時には、ロジーク氏は主演の劇団EXILE・青柳翔(33)を「黒澤映画の三船敏郎のようだ」と褒め称えたというから、さもありなんである。

「カナダには他に同じくらい歴史のある『トロント映画祭』がありますが、一応、『モントリオール』は国際映画製作者連盟 (FIAPF)が認めた、北米で唯一のコンペ形式の映画祭。そういう意味で続ける意義がないわけではないのですが」

 モントリオール映画祭がダメだからといって、「散り椿」の作品の魅力、舘ひろしの演技力とは何の関係もないので、悪しからず……。

週刊新潮WEB取材班

2018年9月6日掲載

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