岡田准一「散り椿」特別賞でも… 親日「モントリオール映画祭」は今年で最後?

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 ひと頃テレビや書籍で流行った“世界が憧れるニッポン!”ではないけれど、海外で日本が褒められたと聞けば、まあ悪い気はしないもの。日本時間9月4日に閉幕したカナダの「モントリオール世界映画祭」も、これまで多くの日本作品が栄光に輝いてきた催しである。ところがその舞台裏は、なかなか大変なことになっていて……。

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 今年で42回目の開催となった同映画祭。その名が日本で広く知られることになったのは、なんといっても2008年に滝田洋二郎監督の「おくりびと」が最優秀作品賞を受賞したことがきっかけだった。この受賞で弾みをつけた(?)「おくりびと」が、翌年の第81回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞したのはご存知のとおりだ。

 これ以外にも日本作品とモントリオール世界映画祭の縁は深く、13年は「利休にたずねよ」(最優秀芸術貢献賞)、14年には「ふしぎな岬の物語」(審査員特別大賞、エキュメニカル審査員賞)と「そこのみにて光輝く」(最優秀監督賞)、16年「たたら侍」(最優秀芸術賞)「健さん」(ドキュメンタリー部門 最優秀作品賞)、17年「幼な子われらに生まれ」(審査員特別大賞)と、何かしらの賞に関わり続けている。15年こそ何もないが、その年は“反・反捕鯨映画”「ビハインド・ザ・コーヴ」がエントリーされ、こちらはこちらで日本の汚名返上を手伝ってもらえた感がある。

 そして今年は「散り椿」が審査員特別賞、「終わった人」で舘ひろし(68)が主演男優賞というわけだが、実は開催自体が危ぶまれていたという。解説頂くのは、空白期間を交えつつも、およそ20年前からモントリオール世界映画祭を取材する現地在住のライター・関陽子氏だ。

「モントリオールはカナダ、ケベック州最大の都市。2018年はその州政府から、“未納の州税を支払わなければ強制的に映画祭を廃止する”と通達されていました。未納税額は日本円にしておよそ5千万円で、最低額の300万円を納めてのギリギリの開催だったのです。税金の未納問題は3年程前から問題になっていて、16年と17年は“違法”に開催されたことになるそうです。来年19年の日程もすでに決まってはいますが、すでに今年で最後になるだろう、と囁かれています」

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