韓国戦敗戦「吉田輝星」の“881球問題”を検証 プロで「大成しない」不吉データ

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881球はワースト2位

 吉田、炎上————。 9月5日、「BFA U18アジア選手権」で日本は韓国に、3対1で敗れた。敗因の1つとなったのが、金足農の3年、吉田輝星(17)のピッチングだったのは確かだ。

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 1回に3ランを浴びたのが、あまりにも痛かった。ただ打線が吉田を見殺しにしたのも事実。終わってみれば被安打2で6回3失点。批判から擁護まで様々な評価が可能だ。しかし「先発の役割」は先取点を取られないこと。それが果たせなかったのは確かだろう。
 
 それに結局のところ、勝ち負けは関係ない。そんなことより肩の“酷使”を心配していた人が大多数だったはずだ。何しろ、甲子園では6試合で881球も投げた。決勝戦は5回で降板したにもかかわらず、これだけの数に達した。その上でのアジア選手権。私たちの懸念は、最悪の形で的中してしまったのかもしれない。

 元西武監督の東尾修(68)は投手として通算251勝。名球会で理事を務めている。その東尾が週刊朝日(朝日新聞出版)で連載している「ときどきビーンボール」で先日、吉田輝星を取り上げた。

 AERA dot.に転載された「東尾修も驚いた! 金足農・吉田の『省エネ投球術』」(9月1日)から該当部分を引用させていただこう。

《一人でマウンドを背負う責任感が「ギアチェンジ」といった形で、省エネで頭を使った投球術を生んだのかな。甲子園決勝までの道のりを見据え、一人で投げ抜くにはどういった力の配分をすべきか。プロと違って確固たるデータがそろうわけではないだろうが、洞察力を持って打者と対峙(たいじ)していた》

 確かに省エネで投げたのかもしれない。しかしながら、881球という桁違いの数字は変わらないだろう。1990年からの「夏の甲子園・大会通算投球数ランキング」では“ワースト2位”なのだ。表にまとめてみた。ご覧頂きたい。

 見ていただいた10人の選手のうち、知名度を誇るプロ選手は、断トツでワースト1位の斎藤佑樹(30)と、7位の松坂大輔(37)だけだ。このことに驚かれた方も少なくないだろう。

 10人のうち引退した投手はプロ2人、アマ2人の合計4人。現役プロの1人であるソフトバンクの島袋洋奨(25)も状況は厳しい。2017年の11月に戦力外通告と、育成選手での再契約が発表された。背番号は39から143に変更されている。

 少なくとも今のところ、プロで確たる成功を収めたのは松坂だけだ。打たれても、失点しても、粘り強く投げ続け、最後は勝利を呼び込むという“熱投型”は絵になる。人気選手となるメリットはあるが、肩の消耗というデメリットは否定しようがない。

 松坂は中日に移籍し、前半戦は復活を印象づけた。人気も一気に再燃したが、後半戦に入ると勢いは衰えている。

 特に9月2日の巨人戦では7失点でKO。3日に出場登録を抹消された。09年、ボストン・レッドソックスでの4勝6敗、防御率5.76を原点とする松坂の苦闘は、依然として続いているのだ。

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