「検察側の罪人」怪演で注目 「酒向芳」が役者として一本立ちは50歳の時

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「半分、青い。」にも出演

 身長184センチ、59歳のイケメン。笑顔で質問に答える姿は、ぜひ写真をご覧いただきたい。邦画史上屈指の鬼畜役で、二宮和也(35)だけでなく木村拓哉(45)も喰った男。酒向芳と書いて「さこう・よし」と読む。公開中の映画「検察側の罪人」(東宝)の演技が話題となっているベテラン俳優だ。

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 一般的な知名度は低いかもしれない。だが、いぶし銀の脇役俳優として、知る人ぞ知る存在だった。本人も「昔から主役タイプではないと自覚していましたし、加東大介(1911~1975)や伊藤雄之助(1919~1980)という名脇役に憧れていました」と振り返る。

 詳しい経歴は後述するが、オンシアター自由劇場、東京シェイクスピアカンパニー、二兎社などの人気劇団で活躍してきた。押しも押されもせぬ、筋金入りの演劇人だ。ちなみに、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」でも「東美濃市農業協同組合・西村」役で出演している。

 まずは映画の反響を尋ねると、「友人からメールをたくさんもらいました。今までにはなかったことですね」と照れる。

「芸能界以外の仕事をしている友人が多いので、ストレートに『面白かった』というのが一番多かったです。確かに“怪演”も散見されましたけど、“獣演”というのがありました。僕は獣ではないので、きっと相手が漢字を書き間違えたんだと思っています(笑)」

 ちなみに夕刊フジが8月27日(電子版)に「『検察側の罪人』主役を食う“獣演”見せた 酒向芳とは?」という記事を掲載しているのだが、それはさておき、もともと「検察側の罪人」の原田眞人監督(69)は、2015年の舞台「薮原検校」を観劇していた。直木賞作家でもある井上ひさし(1934〜2010)の傑作戯曲だが、これに出演していた酒向に注目したという。

 17年に公開された岡田准一(37)主演の映画「関ケ原」(東宝)では出演が打診された。だが、「ほぼ毎日、舞台に出演中だった」(所属事務所)ことから、スケジュールの調整がつかず断念。それが今回の「検察側の罪人」ではオーディションに参加できることになり、原田監督は「よく来てくださいました」と歓迎した。

「映画での髪型が独特だと、よく質問されますが、あれは地毛です。オーディションを受けて、使ってもらえることが決まって、監督が『その髪型でいこう』と仰ったんです。ヘアメイクさんが少し強調していますけれど、カツラは一切、使っていません。『重要な役ですよ』と脚本を渡されましたが、平常心を保ちました。ただ演じるには準備がいると思い、荒川を念入りに散策しました」

 酒向が演じた「松倉重生」は未解決殺人事件の重要参考人という役。荒川が重要な舞台となっており、「セリフにリアリティを持たせる」ため数日間かけて相当な距離を歩いた。「立派な不審者だったと思います」と笑う。

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