5年後の実用化なるか「高血圧治療」夢のワクチン “年1回注射”がもたらす数々の恩恵

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年1回で効果「新型ワクチン」で「高血圧」治療ができる――森下竜一(2/2)

“一生、薬を飲み続けなければいけない”という悩みを抱える高血圧患者にとって、大阪大学大学院臨床遺伝子治療学の森下竜一教授が取り組む「高血圧DNAワクチン」は、まさに“夢の特効薬”である。その仕組みについては前回を参照いただきたいが、今年4月より、オーストラリアでヒトに対する治験も始まった。森下教授は、服薬における“飲み忘れ”“継続失敗”の問題に触れ、「服薬ではなくワクチンでやろうという考え方が出るのは自然な流れ」だと語る。

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 オーストラリアでの治験で安全性と有効性が確認できたら、次は日本で数百人規模での治験を重ねる。そして保険承認を目指す流れになりそうです。日本での治験の対象を、症状が重い人にするか軽い人にするかといったあたりはこれからの課題ですが、20年前後には手がけたいですね。

 日本において、ひとつ好材料があります。14年施行の改正薬事法で、再生医療等製品を条件付きで早期承認できる仕組みが導入されたのです。遺伝子治療も、再生医療等製品に含まれますので、これまでよりもずっと早く実用化が進みます。

 高血圧の治療薬には、おおまかに言って、降圧剤としてARB(アンジオテンシン受容体結抗薬)に加え利尿剤、血管を拡げるCa拮抗薬といったものがあります。高血圧DNAワクチンが実用化されたら、3剤飲んでいる人は、少なくとも降圧剤は要らなくなるので2剤で済み、負担が減ります。予備軍で降圧剤を将来服用する可能性のある人は、ワクチンを打っておくだけで、薬を飲まなくてよくなるかもしれません。

 服用後の数時間で効果が出る薬と違い、ワクチンは、効きはじめるまでには2週間から4週間かかります。が、認知症などになって自分で薬を飲めない人も増えているので、やはりワクチン自体のメリットが大きいのはまちがいありません。

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