公立中学? 中高一貫校? 大学付属? わが子を進学させるべきはどっち?

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お金の話

 さらに昨今は、私立中高一貫校が適性検査型の入試を行うケースが増えている。2018年の中学入試では、首都圏に約300ある私立中高一貫校のうち約80の学校が、適性検査にそっくりな形式の入試を実施した。適性検査の形式とは異なるが、4教科型ではないいわゆる思考力型入試を含めれば、その数は約140校にもなる。公立中高一貫校の適性検査対策をしておけば、それらの私立中高一貫校を受験することも可能なのだ。私立の場合、もちろん高額な授業料が必要になるが。

 費用の面で見れば、国立中高一貫校と公立中高一貫校の授業料が実質的に無料なのに対して、私立中高一貫校に通うと6年間で小さなベンツが買えるほどのお金がかかると言われている。しかし中堅以下の私立中高一貫校では、授業料を免除する特待制度を設けている場合も多い。全額免除というケースは少ないが、負担はだいぶ軽減される。授業料を値引いても、優秀な生徒が入学してくれて6年後に難関大学への合格実績を積み上げてくれるのなら御の字というわけだ。

 ちなみに少なくとも東京都では、国立中高一貫校の入試も、公立中高一貫校と同日に実施されるので、併願はできない。しかも国立中高一貫校の中には必ずしも高校進学を保証していない学校もあるので、要注意だ。驚異的な東大合格率を誇る筑波大学附属駒場中学校・高等学校の場合、原則的に中学から高校へ全員が進学できるが、筑波大学附属中学校・高等学校の場合、中学から高校へ内部進学できるのは8割程度といわれている。学芸大学附属の系列ではさらに内部進学率が低い。お茶の水女子大学附属に関しては、中学校まで男子生徒がいるが高校からは女子校になってしまう。

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 つづく(3)では大学付属という選択肢について解説する。

おおたとしまさ
育児・教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。麻布中高卒、東京外国語大中退、上智大卒。リクルートから独立後、教育誌等のデスクや監修を歴任。中高教員免許を持ち、私立小での教員経験もある。『ルポ塾歴社会』など著書多数。

週刊新潮 2018年3月22日号掲載

特別読物「人生の岐路は12歳! 『公立中学』か『中高一貫校』か『大学付属』か 我が子を進学させるべきはどっち?――おおたとしまさ(育児・教育ジャーナリスト)」より

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