高橋真麻ズブ濡れ伝説も生んだ「隅田川花火大会」独占中継「テレ東」の舞台裏

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スカイツリーの謎

小高P:去年(17年)も雨だったんですけどね。中止にはなりませんでしたが、我々にはやはり“13(年)”の経験があるので……。それに高橋英樹さんが、もう20回以上のベテランですので、英樹さんがいれば大丈夫。スタッフより詳しいかもしれない。

澤井CP:中止が1度だけなら、順延も1度しかないんです。

――97年の第20回大会は、台風が直撃し、土曜から日曜に順延された唯一の大会。司会を務めるはずだった三井ゆり(49)は、日曜日のスケジュールが合わず、放送終了5分前に会場に到着して涙……というシーンも。また、87年の第10回大会では、放送が始まる直前にセットに落雷。幸い人がいない時だったので事なきを得たが、セットには焦げ跡が残っていたとも聞く。

澤井CP:落雷の伝説は聞いたことがないなあ。

小高P:稲妻と花火を一緒に撮れたことはありましたね。

澤井CP:夜景をバックにした花火大会だから、撮り方にはこだわるんですよ。

小高P:今年はある意味で業界初、スカイツリーの展望台デッキの中ではなく、外側から生中継します。収録はあっても生中継は初だそうです。

澤井CP:スカイツリーができて、撮り方が変わったところも大きいですね。スカイツリーを取り込んでの花火をヘリから撮ったりだとか。ライティングを変えてもらったり。

――そのスカイツリーに設置されているカメラは、他局に比べテレ東だけ低い位置にあるといわれる。それも隅田川花火大会のためだとか――。

水野AP:スカイツリーのお天気カメラは、他局さんは375メートルなのに、ウチは170メートル。確かに花火大会のためという声も聞きますが、公には言っていません。ただし、花火が上がるのは150~160メートルですから丁度いいんですね。カメラの向きも他局さんは都心側を向いているのに対し、ウチのカメラは川の方を向いているのには、ちょっと意図を感じるなとは思います。しかしオフィシャルにはアナウンスされていないので……よくわかりません(笑)。

花火師のプライド

小高P:毎年、春頃から打ち合わせに入ります。まずはメンツを集めて、その年のテーマを決めたり。今年は平成最後がテーマですから、来年は新元号がテーマになるんじゃないでしょうか。再来年はオリンピックでしょうし。

澤井CP:上がる花火は毎年違いますけど、基本は一緒。我々が「今年は3万発にしましょうよ」なんて言えませんからね。そこでどういう演出ができるかは難しい。ドローンだって、東京では規制ができて、今では飛ばせない。

水野AP:他の花火大会よりも規制は厳しいと思いますね。そんな中でも、毎年、去年とは違う映像をと思って試行錯誤しているんですけどね。

澤井CP:100万人近いお客さんが来ますからね、何かあったらマズい。けが人が出て大会がなくなってしまったら、大変なことですから。隅田川花火大会は、全国の大きな花火大会と比べたら、打ち上げ数が特別多いわけでなく、玉だって大きくはないんです。一尺玉とか二尺、三尺とかがウリの大会ではないんです。でもね、我々は花火師の方々と密接なお付き合いをさせていただいていますが、そのプライドはすごいですよ。

水野AP:隅田川花火にはコンクールもありますが、他の花火大会よりも小さな玉でやるっていうのが、縛りのある中でどれだけ斬新なものが作れるかというのが、花火師さんの墨田花火にかける思いは強いそうなんです。

小高P:「別格」と表現する方が多いんです。「他にはない江戸期から続く伝統があるので、ここで上げられることが名誉だ」という言い方をされますね。夜景をバックにして上げる花火というのも他にはあまりないんですね。夜景とのバランスや、川にどう映えさせるか気を使いながら花火師さんは考えてらっしゃるんです。それと全国的に見ても早い時期にやる大会ですので、今年の流行りが真っ先に見られるということもあり、花火師さんたちも注目されていると聞いたことがあります。

澤井CP:視聴者もそれを見たいんでしょうね。ゲストの会話なんかいらないから、花火を見せろとクレームが来る。昔はアイドルの歌を途中に入れたこともあったけど、年々シンプルになっていっている。いまはテロップも入れなくなってきているほどです。

小高P:音楽とコラボとかやってみたりもしました。やっぱり演出したくなってくるんですよ。だけど純粋に花火を映したほうがいいと分かってくる。それでも、どんなに花火ばっかり撮っていてもクレームは来ます。花火が上がっていない時にはゲストも映しますけど、そこにも来ますね。「今、上がってないんですよ」って言いたいんですけどね。

水野AP:それでも何かやろうとアイデアは出します。2~3年前からは打ち上げ台船からの中継、打ち上げる瞬間を撮ったりもしてますね。副音声も3年前から導入してまして、今年は、みうらじゅんさん(60)と、いとうせいこうさん(57)ですから、相当面白いと思います。

――40年も続けてきて、終了という声はないのだろうか。

小高P:第1回からやってますしね、花火に関しては、「やめる」という声は聞きませんね。

澤井CP:視聴率が下がっていったら、そういう声が出るかもしれません。でも、あのゲリラ豪雨で、良くも悪くも、イメージはついてますからね。

週刊新潮WEB取材班

2018年7月30日掲載

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