「オウム」死刑執行に反対論 非人道的なのはどっち?(KAZUYA)

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 1995年の地下鉄サリン事件当時、しばらく報道はオウム真理教一色になりました。僕は小学生でしたから、とりあえず「オウムはヤベー奴ら」くらいの印象です。そして小学生とは無邪気なもので、よくわからないけど耳に残った「しょーこーしょーこー」というあの歌を歌って笑っていた記憶があります(不謹慎)。

 7月6日、麻原彰晃こと松本智津夫ら7名の死刑が執行されました(※26日に残る6名も執行)。天皇陛下の譲位に伴って、平成も残りわずかになってきましたが、平成時代の象徴的な事件にも一つの区切りがつきそうな形でしょうか。

 オウム事件に関する最後の裁判は今年1月に終わりました。そこから半年経って7名の刑執行ですから、法に則ったなんら問題のないものでしょう。

 死刑が執行されると、必ずといっていいほど批判が出ます。国内の死刑反対派はもちろんのこと、海外の死刑を廃止した国も「死刑はやめろ」と日本に言いがかりをつけてくるのです。

 欧州連合(EU)加盟28カ国とアイスランド、ノルウェー、スイスは死刑は非人道的、残酷で犯罪の抑止効果もないなどとする声明を発表しました。

 なるほど。死刑は非人道的だというわけですね。確かにそんなことを言う彼らは実に人道的です。テロに限らず、何かあればその場でポア……いや、射殺するという、実に人道的で文化的な措置が取られることがあります。

 日本の場合その場で射殺することは少なく、オウム事件の場合でも長い時間をかけて裁判を行い、死刑を執行しています。まだ真相が明らかになっていないとの声もありますが、23年口をつぐんだ人がこれからベラベラ何か喋りだすでしょうか? また、残忍な事件を起こした奴らを生かす原資は私たちの税金でもあります。冤罪の可能性を排除できたなら、粛々と実行すべきでしょう。

 今回の件に便乗した海外からの「死刑やめろ」に対しては、内政干渉をやめろと言いたい。日本と海外では文化も違うし、犯罪の抑止力云々で言えば、日本の方が治安はいいわけです。大体大罪を犯した人物の人権をどうこういう前に、蹂躙された被害者の人権はどうなんだと。非人道的なのはまずオウムの方なのです。

 オウムの危険性を指摘していた坂本堤弁護士は一家諸共殺害されました。当時1歳だった坂本さんの長男は生きていれば、今年30歳。まさに僕と同年代なのです。未来ある子供の人権を一方的に蹂躙し、松本、地下鉄サリン事件でも多数の死者を出し、後遺症に苦しむ人もいます。

 死刑やめろと言っているのは、国内だと左派系が主体だと思います。普段人権がどうとか被害者に寄り添えとかいう態度でいるくせに、死刑になると被害者の人権を無視して、大量殺人を犯した奴らの側に立って「死刑反対」を叫ぶ神経がまるで理解できません。

 今の若者はオウム事件の時にまだ生まれていませんから、どれだけヤバイ奴らだったかを知らない人もいます。オウムの後継団体はその名を伏せてヨガ教室などから若者に近づき、布教活動を続けています。信仰は自由だけど注意はしたい。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者40万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2018年7月26日号掲載

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