国会終盤の「突撃」「強奪」「居座り」……野党はなぜ建設的な議論ができないのか

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政策よりスキャンダルを

 この事前調査で、さまざまな法案、予算案はまず自民党政務調査会、通称「政調会」で審議される。この政調会のなかには専門に応じた「部会」が存在している。ここに所属するのがよく耳にする「族議員」だ。

 この部会において、族議員らと官僚たちが法案を修正していく。それがさらに党内のプロセスをいくつか経たうえで国会に提出されることになる。

 つまり国会で審議する前に、政府と与党がガチガチに議案の内容を固めるから、そのあとで修正するようなことは滅多に起きない。そんなことをしたら、それまでの面倒なプロセスは何だったのかということになりかねない。

「日本では野党議員は政策決定から事実上排除されてしまっており、建設的な意味でできることはほとんどありません。

 そのため日本の野党は国会で何をするかというと、政策の議論は最小限にとどめて、むしろ官僚や政治家などのスキャンダルを責め立てて政府の足を引っ張ることに力を入れます。最近ではいわゆる『モリカケ問題』に係る審議などがその典型的な事例で、北朝鮮が弾道ミサイルの開発を進めアメリカが保護主義的な制裁措置を断行するなど国際情勢が目まぐるしく動いている中で、野党議員たちが大臣の外交を妨げ国内に留めて、政権を責め立てていたのは少々バランスを欠いていたと言わざるを得ないでしょう(略)。

 日本の野党は、政策立案にあたって建設的な役割を果たすことが政権・与党によって封じられているため、その瞬間瞬間の世論にのって刹那的に政権批判を繰り返すことくらいしかできない宿命にあります。その意味では日本の野党は与党に無能であることを強いられている、ということができると思います。これは重要なことで、野党議員の中には大変優秀な方がたくさんいますが、それとは関係なく日本の野党は組織的に無能にならざるを得ないのです。これは大変残念なことです」

 どうやらシステムがこのままだと、野党は「組織的に無能」なままだというのだ。

 どうせ建設的な話ができないのなら、いっそ早く店じまいして、浮いたお金を被災地に寄付しよう――そのくらいの提案をしたほうが、支持は集まるのかもしれないが……。

デイリー新潮編集部

2018年7月25日掲載

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