国会終盤の「突撃」「強奪」「居座り」……野党はなぜ建設的な議論ができないのか
突撃、強奪、何でもありの国会
20日に事実上の閉幕をした通常国会では、終盤にまたしてもいつものような茶番が繰り広げられた。
採決時に委員長に突撃して、資料を強奪する山本太郎参議院議員。
「カジノより被災者を助けて」という垂れ幕を本会議場で掲げる山本議員、森裕子参議院議員、糸数慶子参議院議員。
最終日にアメリカのフィリバスターまがいの長時間演説を展開し、国会新記録を達成した枝野幸男・立憲民主党代表。
こうした抗議を受け流して淡々と事を進めていく与党。
それぞれの法案、政策の是非はさておいて、これらのやり取りに生産性が無いという点だけは、多くの国民が賛同するところである。
多額の税金がつぎこまれている国会で、なぜこういうことが延々と続くのか。
安倍政権の支持率は安定しているといっても、不満を持つ人も少なからず存在している。それにもかかわらず、野党への支持者は増えない。
武器が「突撃」「強奪」「垂れ幕」「居座り」ではそれも無理のないところかもしれない。
なぜ野党はここまで不毛な行動を繰り返すのか。それは日本の国会というシステムが抱える根本的な問題が関係している、と指摘するのは元経産省官僚の宇佐美典也氏だ。
宇佐美氏は新著『逃げられない世代――日本型「先送り」システムの限界』のなかで、問題の本質をわかりやすくときほぐして解説している。以下、同書をもとに、なぜ野党はあんな感じなのかを見てみよう。
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野党が刹那的になる理由
与党が目の前の法案を通すのに必死だとして、野党がもっと大きな構えで長期的な視点を示すことはできないのか。特に山本議員らは参議院なので、任期も長く安定している。その立場をもっとポジティブに活用できないのだろうか。
「残念ながら、結論から言えば日本の野党議員は与党議員以上に短期志向で、その瞬間瞬間で与党と政府の問題を指摘して世論を盛り上げて政権を追い詰めることに特化しています。野党のスタンスは『短期的』を超えて『刹那的』といってもいいほどです」
こうなる理由は日本の政策立案が「事前審査制」をとっているからだ、と宇佐美氏はいう。これは政権・与党が野党にまったく政策立案に関与させないような仕組みなのだ。
「国会で審議される議案というのは、内閣または議員が作成することができるのですが、日本では実効性のある議員立法はほとんどなく、実質において意味のある法律案・予算案はほぼ全て各官庁が作成します。こうして作成された法律案・予算案は政府から国会に提出される前に、自民党内の『事前審査』を受けることになります」
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