ボランティアの“勝手な排水”で混乱も… タイ洞窟「決死の救出作戦」舞台裏

国際週刊新潮 2018年7月19日号掲載

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特殊部隊でも6時間

 さらに、タイ在住のジャーナリスト・齋藤正行氏も、

「現場に集まるボランティアの中に、未登録の団体が入り込んで勝手に排水作業を行なっているのですが、何と、彼らのかき出した水が洞窟の中へ逆流していることが判明したのです」

 現場の混乱は推して知るべし。あらためてことの経緯を振り返っておくと、タイ海軍などによる救出作業に加わっていた英国人ダイバーが、13人を発見したのは2日の夜だった。

「13人は、サッカーチームに所属する11歳から16歳の少年ら12人と、25歳のコーチ。6月23日に、仲間の誕生日を祝おうとタムルアン洞窟に入ったところ、水位が増し、奥地へと退避していたのです」(同)

 現場の洞窟は全長およそ10キロほど。山の中腹に位置し、国立公園の中にある。入り口からおよそ3キロにわたって真っ直ぐな道が続き、T字路に突き当たる。そこを左に折れて2キロ近く進んだ場所に、少年たちは留まっていた。

「発見場所に至るまでの行程の半分以上は水没しており、海軍の特殊部隊でさえ、到着まで6時間を費やしました。泥水で10センチ先の視界が利かず、ダイバーは“命綱”のロープを携えて進んだのです」(前出記者)

 途中、パタヤビーチと呼ばれる高台があり、

「部隊は当初、ここに少年たちがいるとみていたのですが、増水もあって実際にはさらに400メートルほど先に避難していた。英国人ダイバーは、ロープが尽きた地点で水面に顔を上げ、ちょうどそこに彼らの姿を発見できたのです」(同)

 少年らは、岩から浸み出す水を飲み、持参していた菓子を分け合って飢えをしのいでいた。コーチの男性はかつて僧侶の経験があり、自らの食事は後に回し、瞑想をすすめて少年らの気持ちを落ち着かせたという。

「通気もよく、気温も低くなかったことが幸いしました。で、直ちにいくつかの救助策が講じられることになったのです」(同)

(下)へつづく

特集「『タイ洞窟』13人を襲う大雨! 酸欠!! 『決死の救出作戦』舞台裏」より

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