「三田佳子」語る 復帰舞台に「九十歳。何がめでたい」を選んだワケ

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 128万部を超えるベストセラー、佐藤愛子さんの『九十歳。何がめでたい』が、東京・明治座で舞台化される(11月30日、12月1日、以降は地方公演)。佐藤さん役を演じるのは、今年、芸能生活58年の三田佳子、76歳。井上順、石野真子らが共演、石井ふく子さんが演出する朗読劇だ。

 作品の大ファンであり、佐藤さんと親しい三田が発案。昨春、佐藤さんに直談判し、実現に至った。

 石井さんはいう。

「私も彼女から直に、ぜひ演出を、と頼まれ、引き受けました。三田さんのこの作品に対する強い思いが伝わってきましたね」

 何でも三田はデビュー間もない頃、佐藤さんの実体験に基づく小説『戦いすんで日が暮れて』の女主人公に憧れ、演じたいとの思いを持っていたという。

「でもね、実は去年10月、舞台どころじゃない事態が待ち受けていたんですよ」

 と語るのは、三田ご本人。

「夏クールの連ドラ『過保護のカホコ』で祖母役を演じていました。その撮影の終り頃、首の後ろが痛くて堪らなくなったんです。調べてみたら頸椎硬膜外膿瘍(けいついこうまくがいのうよう)と診断されました。撮影終了と共に入院、即手術です」

 脊髄を囲む硬膜の外に化膿菌による膿瘍ができ脊髄を圧迫、放っておくと体の各部にも感染症を引き起こすという怖い病であった。

 首を切開する大手術後は、絶対安静を強いられた。

「舞台なんて無理、それどころか四肢麻痺の危険性も。一時は死をも意識しました。先生の本に“歳月は覚悟も勇気もなし崩しにしてしまう”との言葉があり、その意味を身に染みて感じましたよ。それでも2カ月の療養で何とか回復することができました。まだ手先が痺れたりと後遺症はありますが、仕事にも復帰しています。病気は辛かったですが、より先生に近づけたと思い、今度の舞台に臨めます」

 新境地、こうご期待。

週刊新潮 2018年7月12日号掲載

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