「情報オリンピック」経験者たちが語る“僕らがプログラミングを始めたワケ”

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日本の天才中高生が見せた「神業プログラミング」(下)

 中高生がプログラミングの腕を競う「国際情報オリンピック」で、日本が初の世界一に輝いたのは昨夏のことだった。「大学入学共通テスト」に情報科目を導入する方針が政府の「未来投資会議」で確認され、22年度には高校の共通必履修科目として「情報I」が新設されるなど、日本のプログラミング事情は活発な動きを見せている。

 だが、情報オリンピック日本委員会理事長の筧捷彦早大名誉教授は、コンピューターサイエンスを学んだ人間に対する待遇の“日本とアメリカの差”を危惧する。「未来会議」の資料によれば、AIに関わるエンジニアの平均年収は日本が650万円、アメリカは1490万円と大きな開きがあるというのだ。

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 とはいえ、希望もあって、

「情報オリンピックには06年から毎年生徒を送り出すようになって、これまで36人ほどになります。そのうち社会に出ているのが6人。うち1人がグーグルで、残りの5人はプリファード・ネットワークス(PFN)という日本の会社で働いています。ディープラーニングとかAIの分野で活躍するベンチャーで、トヨタが約105億円の研究費を出資してニュースになりました。自動運転を目指す新技術の開発を進めるためには、能力のある人たちがいる企業と繋がらない限り事がうまく運ばないと、トヨタはわかっているんでしょう。これまではシリコンバレーとかスタンフォード大だったりしたところに、PFNが割って入ったということです」(筧氏)

 PFNは東大発のベンチャーを前身として14年に創業。ディープラーニングの研究と開発を行なっていて、トヨタのみならずNTT、パナソニック、GPU(三次元画像処理装置)を開発・販売する米NVIDIAなどと提携している。今回、いわばIoT(モノのインターネット)の地平を切り拓く同社で働くスターの面々に、話を聞くことができた。

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