「芸人」の世界でなぜ2世は育たないのか 松本人志は“お笑いDNA”を全否定

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芸人の父は厳しい

高須:でも、「やりたいんやー」ってアホみたいな顔して泣いて言うねんで。

松本:俺、もっとアホみたいな顔して泣いて、「やめてくれ」って言うもん。ムリやもん。絶対にムリ。お笑いに関して言うとムリ。ズェーったいにムリ! 幸せすぎるンやもん、子供の頃から。ただそんな上を目指さへんのやったらエエよ。地方局のレポーターとかでも納得すんのやったらええけど……(中略)。役者さんとか歌手とかはわからんよ。音楽とかは、親がミュージシャンなら英才教育、腹ん中入っている頃から聴いてたりするわけやろ。結局、音楽って情報量の多さみたいなところもあるやろ。一杯いろんな曲を聴いてたら、ある程度いいメロディラインて、生まれるやんか。お笑いはそういうことではないから……。

 という持論であった。自分のような環境でないとお笑いは生まれない、という意識が強すぎるきらいはあるものの、確かにダウンタウンの笑いを引き継ぐなら“屈折”は必要だろう。

 お笑いを見続けてきた、プロデューサーの澤田隆治氏(85)の分析はこうだ。

「そもそも親の面白さも生まれた時からではなかったりしますからな。芸人だってキャラが化けるんですよ。もちろん初めから面白い人もいますけど、大成するわけではありません。芸人となってからも上手く化けた人が大成するんです。タモリさん(72)だって、昔の芸風と今の芸風はまるで違うでしょう。鶴瓶ちゃんだって、苦労して苦労して面白くなった。誰がブレーンにつくかによっても違うでしょう。だから親が面白いからといって子供が面白いとは限らない。そして、面白いと認められている芸人に限って、家に帰ると厳格な父親だったりするもの。子供に父親像を語らせると、『恐い父だった』と言う芸人の子が、どれほど多いことか。笑いの環境にない家で育っているんです。もともとはミュージシャンですが、あの無責任男と呼ばれた植木等さん(1926〜2007)だって家ではキ真面目な父親でしたからね。子供もよほど壊れていないと父と同じ芸人に向かう気にもならないかもしれません。あ、コメディアンの東八郎(1936〜1988)の息子には東MAX(東貴博[48])がいますね。彼は父親とは異なるお坊ちゃん芸ですけど、息子に慕われるいい父親だったんでしょう」

 村上ショージ(63)には、ぬゅぬゅゅゆゅゅゅゅゅ(28・旧芸名・バターぬりえ)というお笑いピン芸人の娘がいる。はたして、いい父親だったのか、娘が壊れているのか……。

週刊新潮WEB取材班

2018年7月14日掲載

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