「谷岡学長」独占手記 金メダル製造機「栄監督」を破壊した「伊調馨」の秘め事

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認定されず

 事実、第三者委員会が4月6日に公表した調査結果では、告発状の指摘したパワハラはいずれも認められませんでした。認定されたのは、その後の関係者への聞き取りで出てきた、馨に対する「よく俺の前でレスリングができるな」などの発言です。もちろん、パワハラとされた部分は真摯に反省しなければなりませんが、練習場所を奪ったりするとか五輪5連覇を邪魔するパワハラは認められなかったと結論づけたわけです。告発の根幹は否定されたものの、焚き付けた当事者らには何のお咎めもありません。

 やはり、不公平感は拭えない。

 きっと栄監督には、馨と田南部コーチの男女関係を注意したら、パワハラという濡れ衣を着せられたとの、納得できないものがあるはずです。だから、本気で反省する態度が取れないのではないでしょうか。個人的には同情するところもあります。かと言って、栄監督のために心を痛めてきた選手を蔑(ないがし)ろにするのでは、学長として解任せざるを得ませんでした。

 結局、馨が発端となったパワハラ問題は、栄和人という金メダル製造機を粉々に破壊しました。協会の役職もすべて外されたため、日本のレスリングは東京五輪でのメダル獲得から遠く離れてしまったのは間違いありません。

 私も一度解任したからには、至学館に戻すわけにはいかない。しかし、並外れて優秀な指導者ですから、栄監督を求めるチームが現れることを願わずにはいられません。たとえ、それが日本のライバル国であっても、このまま潰れて欲しくはないのです。

週刊新潮 2018年7月5日号掲載

独占手記「泣いて馬謖を斬った『谷岡学長』 金メダル製造機『栄監督』を破壊した『伊調馨』の秘め事――谷岡郁子(至学館大学学長)」より

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