熊本地震の記憶が甦る「大阪地震の本震はこの後」!?

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〈今回が本震で14日夜の震度7の地震(M6・5)が前震(ぜんしん)とみられる〉

 2年前の4月16日未明、熊本地方を襲ったのがM7・3の地震である。その際の会見で気象庁の担当者は、「前震」という耳慣れぬ言葉を口にしたのだった。

〈隣接する活断層に地震活動が伝わって本震が引き起こされた〉。会見ではこんな説明が続いたが、熊本の記憶が甦るような類似性が今回、指摘されているのだ。

「本震はこの後」説について、東京大学地震研究所の酒井慎一准教授は、

「大阪の平野部には阪神淡路大震災の震源断層を含む『六甲・淡路島断層帯』のほかに、『上町(うえまち)断層帯』や『有馬・高槻断層帯』など複数の活断層帯が存在しています(図参照)」

 とし、こう続ける。

「熊本地震は今回と同じ内陸型でした。まず『日奈久断層帯』が前震の震源となって地震が発生したのですが、その活動が日奈久断層帯の近くを走る『布田川断層帯』に伝わって、本震を引き起こしたとされています。今度の地震は、有馬・高槻断層帯の付近が震源だと見られていますね。仮にそうだとすると、近くを通る上町断層帯などに活動が伝わり、その断層帯を震源とした本震が、これから発生する恐れがないとは言えません」

 震源の最有力候補と見られる有馬・高槻断層帯は、高槻市街地北部から神戸市北区の有馬温泉付近まで、東西約55キロ。他方、「本震」が起きる可能性が指摘されている上町断層帯は、大阪平野を豊中市から大阪市、岸和田市に至る南北約42キロ。都市の直下を貫通している。

 もしも、上町断層帯が震源となり、熊本地震と同じM7クラスの地震が起きればどうなるか。

 大阪市が2016年に公表した試算によると、震度は5強から7まで想定されている。全壊と半壊を合わせた建物被害は27・7万棟、死者数は8500人にのぼる。

 ちなみに、同じ試算では、有馬・高槻断層帯を震源とするM7クラスの地震の震度は5弱から6弱まで。建物被害は1・4万棟、死者数は最大で100人と予想される。今回の死者は差し当たって5名だが、むろん減ることはないのだから不気味に映る。 

 上町断層帯で「本震」が起きたなら……。一つ確実に言えるのは、今回の比ではない被害が生じるということである。

週刊新潮 2018年6月28日号掲載

特集「天災と人災に揺れた『大阪大地震』」より

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