ソニーを「発明対価300億円」で訴えた元技術者 フェリカ開発、小さな勝利

企業・業界週刊新潮 2018年6月21日号掲載

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 駅の改札でカードをかざし“ピッ!”と音が鳴れば、もう支払いが済んでいる。「Suica」(JR東日本)や「PASMO」(関東の大手私鉄など)といったお馴染みの交通系カードは、ご存知のようにコンビニの支払いにも使える。他にも、流通系のカード「nanaco」やスマホの「おサイフケータイ」など、小銭を出さずに“ピッ!”と買い物をするのは、今や当たり前の風景といっていい。これら非接触型のカード(あるいはスマホ)はすべて、ソニーが開発した「フェリカ(FeliCa)」という技術を使ったものだ。

 5月29日のこと、このフェリカを巡って東京地裁である判決が下された。

 ソニーの関係者が言う。

「フェリカを開発した元エンジニアが、発明対価を支払えと、古巣のソニーを訴えていた裁判です。3年越しの法廷闘争でしたが、判決はソニーに対し、約3200万円の支払いを命じています。しかし、驚かされたのは、その請求額でした。元エンジニアはソニーに対して約300億円もの支払いを求めていたのです」

 元社員が発明対価を求めて会社を訴えた例と言えば、青色LEDを開発したノーベル賞受賞者の中村修二氏のケースが記憶に新しい。中村氏は2001年、日亜化学工業を相手に200億円の裁判を起こし、一審で全額が認められた(後に約8億円で和解)。

 上層部に反対されながらも研究を続け、巨額の利益を会社にもたらしたことが評価されたわけだが、その中村氏の上をゆく巨額訴訟を起こした元エンジニアとは、どんな人物なのだろうか。

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