日朝首脳会談、W杯等々「大事件」のときにはテレビから離れよ 「情報の強者」からのアドバイス

社会 2018年6月15日掲載

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情報は思い切って捨てよ

 日朝首脳会談、「紀州のドン・ファン」事件、日大悪質タックル問題、山口メンバー問題……大きなニュース、あるいは「ネタ」として扱いやすい話題が起こると、テレビの情報番組はそれ一色になる。このあとしばらくは、サッカーのW杯が主役の座を占めるのも間違いないだろう。

 もちろん、多くの関心を集めている話題だから、テレビがそればかりになるのはおかしなことではない。が、一方で冷静になってみると「そんなに途中経過を知る必要があるの?」というものも少なくない。

 たとえば日朝首脳会談については、開催に向けて動き出したからというので、情報番組のみならずニュースでも「どうなるのか」といった予想合戦が繰り広げられていた。しかし、外交当局者ならばいざ知らず、一般人にはこうした予想はほとんど意味がない。結果を知れば済む話だ。それがわかっていながらも、ついついテレビでやっていると見てしまうという方も多いのではないか。

 多くのテレビ、ラジオ番組に出演しているエコノミストの伊藤洋一氏は、著書『情報の強者』の中で、膨大な情報の中から不要なものは「思い切って捨てること」が肝要だ、と説いている。

 そして「大きな事件が起きたときにはニュースから離れよ」とまで言うのだ。その真意をもう少し聞いてみよう(以下、同書から抜粋・引用)。

「世間を騒がすような大事件や大事故が起きると、ニュースはその話題でもちきりになる。
 各社はどこも同じようなネタを何度も繰り返し報じる。最前線で記者が張り切って独自の切り口を探しているのだろうが、多くの場合、視聴者にとってはその違いがさっぱりわからないことも多い。
 もちろん、『繰り返し』をあえて行っている面もある。報道には、重要な情報を多くの人へ周知徹底する役割があるからだ。特に災害などの情報は、ニュースを繰り返すことで一人でも多くの人命を助ける可能性がある。そういう意味で価値は高い。
 しかし、たいていの事件や事故について、私たち視聴者は当事者ではないのだから、同じ情報を細かく何度も見たり聞いたりする必要は本来ないのだ。それなのに、つい漫然とニュースを見てしまう」

 伊藤氏は、こうしたニュースを見てしまうことの危険性を指摘する。

「一人の頭で1日に処理できる情報量には限りがあるから、こういう情報を多く摂取してしまうと、当然、漏れが出てくるリスクが高まる。
 そうでなくても、『大事件』が発生すると、報道側がその事件ばかりをフィーチャーするため、相対的に他のニュースは小さくなる。だからこそ自主的に別のニュースを追うという意識も必要である」

 さらに、「一定の情報が入った段階でそのニュースを遮断することにしている」という。

「世間が騒いでいる中でなかなか難しいかもしれないが、『遮断する』と強く意識し、実行しない限り、同じような情報を繰り返し摂取することになってしまう。
 そして、ある程度時間が経ち、事態がいくらか推移した段階で必要であれば、関連情報を取りに戻る。この繰り返しにより、情報の重複と陳腐化を防ぐのだ」

 W杯でも、テレビの「ニッポン勝てる」式の無責任な予想を見るくらいならば、試合までは情報を遮断したり、海外の報道を見て冷静になっておくのも手かもしれない。

デイリー新潮編集部