城西大学で起きていた「理事長の椅子」巡るクーデター 元「文科省次官」の乗っ取り

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認知症

「デタラメ」「ワンマン」「女王様気取り」――罵詈雑言の限りを尽くした小野氏の“口撃”は止まらない。

小野氏「18歳人口が減少する厳しい時代に、理事長としての対応能力が欠けている。年間事業計画を無視して、教職員や学生を動員し贅沢のし放題で、学校法人のお金を無駄遣いしておられます。(中略)さらには、理事長は連日のようにパワハラを行っておられます。学長、副学長、教職員を怒鳴り上げ、叫び、暴れ、気まぐれにデタラメな命令をして職員を困らせております」

 水田氏のパワハラの原因についてはこう指摘した。

小野氏「それから、これも大変失礼ではございますが、いわゆる認知症にかかっておられるのではないかというふうに思っておりまして、昨日指示したことを忘れて『誰がこんな日程を組んだんだ』と部下を怒鳴ることもしょっちゅうございます」

 以下、小野氏は水田理事長が毎年行う夏の長期出張を、子供や孫に会うための私的旅行で「カラ出張」だと断じて、不正支出の疑いも多数あると述べたのだ。

根も葉もない悪口

 まさに冒頭の会見は、疑惑を精査した学園の会計調査委員会の最終報告で、不適切な支出は約5億3700万円と断じた。内訳は水田氏や名誉理事だった水田氏の母親への報酬などで、小野氏は刑事告訴も辞さない構え。彼の非難が事実なら、解任も致し方あるまいが、その指摘には根拠があるのだろうか。

 寝耳に水だったと水田氏が振り返る。

「退職金は常務理事会で決められた規定通り支払われたもので不正ではありません。一事が万事で、解任理由は具体的な証拠に基づかない、根も葉もない悪口ばかり。私は贅沢などしていませんし暴れたこともない。ましてや認知症だなんて失礼極まりない。例えば指摘された『カラ出張』もそう。私の息子は学園の提携校である米・UCLAで教授をしています。けれど城西大・城西国際大は世界30カ国172大学と姉妹校の提携を結んでおり、それを築くためには、様々な人脈を通じて教育者同士が実際に会い信頼を得る必要があるのです」

 城西大学では予算や人事に関することも含めて、理事会の決議を経なければならないと、水田氏は続ける。

「その場の判断で必要な支出がある際は、理事長の判断で決裁可能な枠内で処理したり、すぐに学内へ集まれるメンバーのみで開く常務理事会で決定します。それらは全て理事会に必ず報告され、経理上の監査役にあたる監事のチェックを受ける。好き勝手に何でもできる組織ではありません」

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