カレーの自由軒、家系ラーメンで湧き起こる「本家」「元祖」大論争

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ホントの「家系」と思われるのが…

 亜流がはびこる以前は、少し離れた店まで電車に乗って家系を食べに行く――。そんな“風習”も少なくなかった。

「結局、価値が下がってしまいますよね。人気の家系を食べられる。これって功罪で言えば『功』かもしれないけれど、それがホントの『家系』と思われるのがイタい。どこも家系を謳っているし、店舗数も多い。こうした店でしか食べたことがない人が“家系なんて大したことない”と言われるのが悔しいし、実際にそうなっているんです」

 本来の家系では、この店主の時代は3年の修業が必要だった。そして、独立する場合は、師匠と一緒に酒井製麺へ菓子折りを持って出向き、「よろしくお願いします」と頭を下げるのが作法だった。

「本気で作った家系ラーメンは世界で一番うまいです。でも、スープ作りの腕とセンスのない人々が修業を逃げて工場スープに走ってしまうんです」

 自由軒の吉田さんはこうコメントする。

「“何十年も来てるけど、ひとつも変わってないな”と言うてくれはるのが嬉しい。忠実に、美味しいなと思える味を守っていくことが元祖ならではですし、ずっと店を続けられる秘訣じゃないかと思います」

 消費者に対する礼節というものもまた、問われているのである。

週刊新潮 2018年5月31日号掲載

特集「カレーの『自由軒』に『家系』ラーメン……パクリ天国『中韓』もかくやの『本家』『元祖』大論争」より

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