北朝鮮だけじゃない、国防の脅威はやっぱり“あの国”… 陸海空「幹部自衛官」緊急座談会

国際 週刊新潮 2018年5月24日号掲載

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 南北融和ムードの広がり受け、“北朝鮮という脅威が去った”と見るムキがある。だが、本当に注視すべき相手は他にいる。陸海空の幹部自衛官が匿名で国防を論じ合った。

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海自 北のミサイルは脅威ですが、それに目を奪われ過ぎている気もします。日本の国防を考えた時、最も注視すべきは中国の動向。北の核開発にしても、経済的な後ろ盾の中国がキープレーヤーになっています。

空自 北朝鮮の軍隊には、日本の防空体制をかいくぐって攻撃できるほどの実力はありませんしね。空自のオペレーションでも、日頃のスクランブル発進で対峙するのは圧倒的に中国機が多く、その次はロシアです。

陸自 中国軍の動向に注意すべしという意見には完全に同意します。陸自でも、九州の西部方面普通科連隊を水陸機動団に改編し、南西方面の離島が侵攻された場合に備えています。

海自 冷戦期の陸自は、仮想敵国をソ連とし、北海道を舞台にした戦車同士の大規模戦闘を想定していたはずですが、さすがにもう現実的じゃないですよね。

陸自 ええ。かつて陸自の精鋭といえば北海道の部隊でしたが、現在では九州に移りつつある。10年ほど前からでしょうか。新装備品は重要地区から優先的に配備されます。

海自 とはいえ、やはり陸自はまだまだ北海道に大部隊を残しています。人によっては「陸は北部方面隊を維持するためにロシア脅威論にご執心だ」などといった批判もありますが。

陸自 ハハハ。まあ、限られた予算を分け合う間柄、海や空からあれこれ言われるのはわかります。ただ、現実にロシアの脅威を低く見積もることはできない。歴史的にも日露戦争、ノモンハン事件、そして昭和20年8月9日のソ連対日参戦と、日本はロシア軍に苦しめられた経験ばかり。決して甘く見てはいけない相手です。

空自 当時の陸軍は一貫してソ連への備えを重視していたのに対し、海軍は南方を攻略して石油を確保する作戦にこだわりましたから。それにしても、陸海の伝統的な論争が今も見られるとは、フフフ。

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