「西城秀樹さん」が開いた巨大農園 “闘病の気分転換になる”と語ったインタビュー

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ミュージシャンもハマる

 ただ、それまで畑仕事なんて全く興味がなかったですし、土いじりすら人生で初めての体験。無農薬なので虫に悩まされたり、台風が来れば大慌てで畑をビニールシートで覆ったりと苦労もしました。でも、畑仕事には人間の本能を刺激するものがあるんでしょうね。すぐにのめり込んで、仕事が忙しい時期でも週に1度は必ず畑に足を運びました。

 自分で作ったトマトを初めて口にした時の感激は、未だに忘れられません。瑞々しくてジューシーで、「トマトって本当はこんな味だったんだ!」と胸が熱くなりました。

 野菜嫌いだった僕の子供も、今では喜んでキュウリを丸かじりしている。最近は、畑に野菜が生(な)っている様子を知らない小学生も多いんじゃないかな。子供に勉強させる意味でも、親子でジャガイモを掘って野菜カレーを作ったりしますね。

 意外に思われるかも知れませんが、僕の他にも野菜作りにハマっているミュージシャンは多いんです。ダイアモンド☆ユカイ君や吉川晃司さんとかね。ユカイ君は僕が司会をしていた「趣味の園芸 やさいの時間」(NHK Eテレ)にも出演していました。

 野菜作りは、畑の状態や天候によって収穫物の出来が左右されます。決まった答えはなく、手探りで自分なりの方法を見つけ出すのが醍醐味です。その点、ミュージシャンは夢中になると人一倍、研究熱心なので、それぞれに工夫を凝らして楽しんでいますよ。

 それに、野菜作りをしていると、陽に当たって自然と触れ合うことの重要性に改めて気付かされます。特に、脳梗塞の後遺症でリハビリを続ける僕にとってはね。

 初めて脳梗塞に襲われたのは2003年でしたが、後遺症もなく精神的に追い詰められることはありませんでした。しかし、8年後に再発した時のショックは大きかった。その間、運動や食生活にはかなり気を遣っていましたからね。再発後、右手と右足の痺れは抜けないし、なまじ病気に関する知識もあったので、脳梗塞への恐怖からノイローゼ状態になりました。家に籠っていると余計に塞ぎ込んでしまうわけですが、そんな時、畑仕事が格好の気分転換になったんです。

 僕は4月に還暦を迎えます。今後の歌手活動のためにも、そして何より、自分の楽しみとして野菜作りを続けていくつもりです。

週刊新潮2015年4月2日号掲載

週刊新潮WEB取材班

2018年5月26日掲載

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