消えてなくなれPTA! 母親たちの切実な叫び

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PTAはブラック組織なのか

 PTAについての評価はその人の立場や経験によって驚くほどちがう。

「最初は面倒だったけど、すごくいい経験になった」と振り返る人も存在しており、そういう論者の書籍も多くある。

 一方で「ブラック組織としか言いようがない」と強い嫌悪感を示す人も多くいる。こういう人の声は、どちらかというとネットで多く見られるようだ。「足抜け」に成功したあとでも、大っぴらに言うのには何かと差しさわりがあるからかもしれない。

 その名も『PTA不要論』という本を執筆したノンフィクション作家の黒川祥子さんは、2人の子供を育て、PTAに関わった経験を持つ。その自身の経験を踏まえたうえで、PTAという組織の存在に強い不満と疑問を抱えるようになった。同書の執筆のモチベーションもかつての暗い記憶があるという。

 ……と、ここまで読んだ男性、特に子育て経験の無い方や、配偶者に全部おまかせで済んでいた方は、「たしかに面倒だろうけど、そんなに目くじら立てる問題か?」と思われるかもしれない。

 そこで、同書をもとに、なぜ「ブラック組織」と言われるのか。具体的なエピソードを見てみよう(以下、引用は『PTA不要論』より)。

出入り口を封鎖!

 まず、前提として知っておくべきはPTAへの加入は本来、任意であるということ。だから親たちは絶対に入らなくてはいけないわけではない。しかし、そういう説明をするPTAは少ないようだ。

 そんなわけで、子供を小学校に入れた際、ほとんどの親は何も考えないままにPTAに加入する。そしていったん加入すると、新年度のたびに待ち構えているのが「役員決め」の恐怖である。

 東京23区の都心部に住む、小学校1年生と保育園年中児の娘を持つ、萩野早希さん(44歳、仮名)の例をご紹介しよう。

 早希さんはフルタイムで働いており、保育園プラス学童クラブのお迎えと、自身の仕事をどう調整するかが、子供が入学してからの悩みだった。

 彼女が有給休暇をとって保護者会に参加したのは、担任の人となりを知りたかったのもあるし、初めての小学校生活への不安もあったからだ。担任の先生からいろいろな話を聞きたい。そう思うのは自然なことだろう。

 しかし、保護者会開始から30分ほど経ったところで、教室に3人のPTA本部役員が乗り込んできた。担任はあっという間に教壇を3人に譲り渡す。

 そのうちの1人が教壇に立ち、2人は教室の前後の出入り口に立ち、保護者達の出入りを封じた。そして、教壇に立った役員女性はこう宣言したのである。

「これから、このクラスのPTA役員決めを行います。クラス委員長含めて、4人です。役員が決まるまで、全員、帰れません、いいですね」

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