米ゼロックス統合 混迷に「富士フイルム」安堵の声のワケ

企業・業界週刊新潮 2018年5月17日号掲載

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 名経営者としての評判を後世に残せるか、はたまた晩節を汚す結果を招くか。富士フイルムホールディングス(HD)の古森重隆会長(78)の進める米大手事務機器メーカー「ゼロックス」の買収計画が混迷している。だが、富士フイルムHD社内から聞こえるのは意外な声だった。

 古森会長が米ゼロックスの買収を発表したのは、今年1月のこと。富士フイルムHDのOBによれば、

「世界市場で、事務機器業界トップは売上高約2・1兆円の米ヒューレット・パッカード。富士フイルムHD傘下の富士ゼロックスは約1・1兆円で、米ゼロックスと統合すれば、売上高でヒューレット・パッカードと肩を並べることになります」

 富士ゼロックスは、1962年にゼロックスの英国子会社、ランク・ゼロックスと富士写真フイルムの共同出資で設立された。90年代後半に入りランク・ゼロックスの経営が悪化した結果、01年に富士写真フイルムが富士ゼロックス株の75%を握って子会社化している。

「統合が混迷している理由は、ゼロックスの“物言う”大株主2人が、富士フイルムHDの買収方法に異議を唱えて、統合に反対しているからです」

 こう指摘するのは、全国紙の経済部記者だ。

「その買収方法は、富士ゼロックスが金融機関から約6700億円の資金を調達して、富士フイルムHDが保有する自社株を買い取った後、ゼロックスの子会社になる。そして富士フイルムHDがゼロックスの第三者割当増資を先に得た約6700億円で引き受けて、株式50・1%を確保する。つまり、富士フイルムHDは1円も“自腹”を切らずにゼロックスを傘下に収めようと考えているのです」

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