唾液で分かる「健康リスク」 4万9800円「遺伝子検査」を受けてみたら…

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 株式会社ジーンクエストは、日本で初めて一般向けに大規模遺伝子解析サービスを提供したフロンティアである。代表取締役の高橋祥子(しょうこ)さん(30)が起業したのは、東大大学院の農学生命科学研究科博士課程に在籍中の2013年のことだった。利用者は4万9800円の解析キットを購入し、唾液を送付して1カ月ほど待てば、「体質」と「健康リスク」が分かるという。

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 前者は肝機能の指標やニコチン依存、就寝時刻が遅めか否か、匂いに敏感かどうか、ストレスを感じやすいかといった細かな部分まで見ることができるのだ。その結果自体は興趣をそそるのだが、本稿では後者の健康リスクに絞る。

 今回は高橋さんを紅一点として、「週刊新潮」編集部の30、40、50、60代の男性部員4人が実際に検査を受けた。唾液を送付してから約1カ月。登録したメールアドレスに、〈長らくお待たせいたしました。ついに遺伝子解析が完了いたしましたので、お知らせします〉とメッセージが届き、ホームページ上で具体的なリスクを確認していく流れだ。

 病気のリスクが他人よりも高いものは、「1倍以上」と数値化されているので、とてもわかりやすい。

 ではまず、ぽっこりお腹がベルトにのっかる54歳の部員に聞くと、

「突出してリスクが高かったのは胆のうがんの2・87倍だった。家族や親戚でもこのがんになった人はいないので正直、ピンとこないね。大したことない病気だと思っていたんだけど、念のため調べたら治療が困難でかなり厄介ながんなんだってね。初期は自覚症状に乏しく、見つかった時点で『すでに手遅れ』という状況がとても多いってことだったから……」

 これだけでも検査は意義深いものだったようだ。

「肺気腫はリスクが高かったんだけど、肺がんは低かった。長年タバコを吸ってきたからこれは気になるよね。あと、俺の父親は80歳のときに脳梗塞で、母親は78歳のときに心筋梗塞で、それぞれ死んだんだけど、今回の解析では脳梗塞、心臓発作、心房細動はいずれもリスクが低かった。安心した部分はあるね」

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