年々早まる「ラン活」に保護者も悲鳴 GWには早くも人気店に長蛇の列

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購入者の6割は祖父母

 もちろん5月16日(水)以降もランドセルの販売は継続している。だが、遅くなればなるほど、選択肢は少なくなっていく。例えば12万円の「コードバンつや有り仕上げ」は材料が希少ということもあり、5月15日の前日、14日に売り切れとなってしまった。これが「一部商品は除く」というわけだ。

 ランドセルの製造量は、製造規模に比例するという。本革の場合は材料の手配に時間がかかるが、製造現場における手間と時間は基本的に「工房系」でも「メーカー系」でも変わらない。

 ならばメーカー系の現状は、どうなっているのだろうか。「天使のはね」のCMでおなじみのセイバン(本社・兵庫県たつの市)はランドセル市場のシェアトップクラスを誇る。マーケティング部の上田彩乃さん(24)に訊いた。

「安定した生産体制をとっているので、ランドセルが1本も残らず完売ということはありません。来年19年の3月中旬ごろでも購入していただくことは可能です。ただ、ランドセルの色によっては、7月ごろに売り切れてしまうこともあります。3、4年前から、私どもでも驚くほど、購入のスケジュールが早まっているという実感はあります」

 セイバンの調べによると、購入者の6割が祖父母。5〜7万円の価格帯が54.3%を占めている。保護者の間には「6万円のランドセルなら、1年1万円で頃合いだろう」という意見が少なくないという。ちなみに冒頭で紹介した中村鞄製作所でも、最も売れるのは牛革の「ボルサベーシック」と「ボルサパステルクラシック」で、どちらも6万3000円。似た傾向を示している。

 また意外なことに、セイバンの直営店には毎月平均で30組もの海外客が来店している。店舗によっては月間売上の2割を海外客が占めたこともあるそうだ。「ラン活」の参加者は、もはや日本人の保護者だけではないことになる。

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