「セクハラ次官」に#MeTooの声を上げる被害女性たち その評を聞くと…
匂いは記憶の喚起装置といわれる。芥川龍之介の短編「世之助の話」には、〈少くとも私にとつては、大抵な事が妙に嗅覚と関係を持つてゐる〉とあり、主人公は成人してからも、墨の匂いを嗅ぐと手習いに行っていじめられた過去が甦るという。さて、彼女たちの場合はどうか。(※記事内容は「週刊新潮」4月26日号掲載時のもの)
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昨年から、女性が性被害を告発する「#MeToo」が世界的な現象となっている。
女性記者たちが財務省の事務方トップの行為に「#MeToo」を突きつけているのはご承知の通りだ。
そんな被害者の胸中などお構いなしの福田淳一次官(58)は、神奈川の湘南高校から東大法学部を経て大蔵省に入ると、元文部次官の娘を娶(めと)り、主計畑を中心に出世街道を突き進んでトップの座を射止めた、超のつくエリート官僚。
目下、積み上げてきた経歴が一挙に崩れ落ちる一歩手前である。
「そういうのとはぜんぜん違う子だと思っています。申し訳ございません。わたくし一切分かりませんので……」
こう畏(かしこ)まる実母の胸中を知ってか知らでか、永田町や霞が関の争いにも利用されつつ、徹底抗戦の態勢に入った。被害女性たちにとっては、とうてい受け入れられない現実であろう。
なにせ、酒臭い息にまみれ、あれだけの思いをしたのだから。
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