あの有名校に激減予想! 3年後に東大合格者が「増える高校」「減る高校」

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48年ぶりの日比谷

 学芸大附属を蹴った生徒が多く進学する横浜翠嵐は昨年、過去最高の34人が東大に合格したが、今年は14人。一方、湘南は昨年の18人から25人に増えた。両校とも波があるが、駿台中学生テストセンターによる合格確実ラインの偏差値は、2016年入試では翠嵐59・6、湘南59・4だったのが、今年の入試用では共に60・0(共に男子)へと微増。学芸大附属の辞退者が多い2年後以降は、東大合格者も“高値安定”すると見られている。

 神奈川県は05年、公立高校の学区を撤廃し、07年から学力向上進学重点校を設置。以来、優秀層が横浜翠嵐と湘南の2校に集中している。同様の現象が東京でも起きており、

「日比谷が東大合格者数ベスト10に入るのは、1970年以来。しかもここ26年ほど、ベスト10は私立と国立の中高一貫校に占められていて、そこに風穴を開けたのです」

 と大学通信の安田賢治常務が言う。日比谷はかつて、多い年で193人も東大に合格したが、学校間格差を問題にした東京都は1967年、学校群制を導入。受験生は複数の学校を組み合わせた“群”を受験し、合格者は成績によって群内の学校に均等配分される制度で、以降、日比谷の東大合格者数は激減。90年からしばらくは一桁が続いた。

 だが、都立高校入試も94年に単独選抜制に戻り、01年には日比谷などが進学指導重点校に指定され、03年に学区も廃止。以後、優秀層が日比谷に集中している。ちなみに駿台の合格確実ラインは16年入試の63・6から18年の64・2(共に男子)へと上昇基調にある。

「進学指導重点校は先生方の異動も穏やか。何年か経つと自動的に異動とはせず、異動するにしても日比谷と西と戸山の間というように進学校間で行い、難関大受験のための教科指導に長けた先生を留まらせている。こうすると進学実績はアップしていきますね」

 そう語る石原氏だが、こんな指摘もする。

「都の施策で17年度から、世帯収入680万円以下は、私立高校に通う生徒の授業料を実質無償化しています。これが続くと、また優秀層が私立に流れかねません。また学区制の撤廃で、公立の2番手校、3番手校の落ち込みは激しい」

 日比谷と同様、合格者48人だった渋谷教育学園幕張は、昨年の78人から30人も減らした。だが、

「今年たまたまこうなっただけで、来年は盛り返すと思います」

 と石原氏。1983年の創立以来、急伸長してきた同校だが、サピックスの偏差値は62→63(2月2日入試)と上昇している。

「東日本大震災で埋立地である幕張新都心の一部が液状化し、渋幕も被害に遭った。今年の受験生は震災の翌年に中学に入った世代で、優秀層が幕張に通うのを躊躇したという経緯もあるんです」(先の塾関係者)

 共学校は男子校ほど東大合格者が増えない傾向はあるものの、来年以降は期待できるという見方が優勢だ。つづく(下)で紹介する。

週刊新潮 2018年4月5日号掲載

特集「『東大』進学戦線に異状あり! 合格者が3年後に『増える高校』『減る高校』」より

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