草なぎ剛「NHK冠番組」で見せた43歳の素顔 「飯島戦略」は諸刃の剣?

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飯島戦略は諸刃の剣

 人気低迷に苦しんでいたSMAPは、バラエティ番組に活路を見出して成功。国民的な人気グループへと成長していった。「アイドルが参入していない分野」を狙い撃ちするのが飯島スタイルだと言える。

 このNHKの番組も、単にソウルを紹介するだけのものではない。草なぎは韓国のリアルな現実に直面し、しばしば言葉を失ってたたずむ。遠慮会釈もなく素顔をさらけ出す演出は、バラエティではなくドキュメンタリーに近い。草なぎがジャニーズ事務所に所属していたら実現は厳しかったはずだ。

「韓国語は流暢でも、韓国の歴史や社会情勢には決して詳しくない40代の男性が、テレビに映っていたわけです。草なぎさんが、どこにでもいる普通のおっさんであることを、全面に出していました。それは飯島さんが従来のイメージを壊してでも、新しい魅力を獲得させようと考えていたからでしょう。究極のリアリズムです。実際、強い親近感を持った視聴者も多かったようですが、私自身は少し外しすぎだったのではと思っています」(同・芸能記者)

 最初に視聴者の度肝を抜いたのは、共演の柳澤解説委員のほうだった。番組の中盤で韓国の人々と酒を呑みながら「戦争は嫌だ。半島情勢が不安で仕方ない」と号泣。韓国の人々に慰められるという場面があった。

 そして草なぎは、番組のエンディングで、自身が作詞作曲した歌をギター1本で披露する。これも相当な破壊力だった。

「はっきり言って、歌詞も曲も素人以下のレベルでした。路上で歌っている人より酷かったかもしれません。ただ、草なぎさんの飾らない素顔がさらけ出されていますから、視聴者は心を動かされたようですね。Twitterでは『感動した』という書き込みが多数を占めました。しかし、テレビの感想をリアルタイムに書き込む『ニコニコ実況』では、嘲笑する声が目立ちました。やはり飯島戦略が“ハイリスクな諸刃の剣”であることも感じさせた番組だったと思います」(同・芸能記者)

 自分で自分の虚像を壊せば、スリリングな魅力が生まれる。だが、根本の魅力も消し去ってしまえば、意味がない。例えば「ユーチューバー 草なぎチャンネル」(YouTube)は期待されたほどの人気は獲得できていないとされる。何でも新しいことにチャレンジすればいいとは限らない。

 元SMAPの3人の中でも、特に草なぎは器用なタイプだ。今後も視聴者に愛され続けるか、器用貧乏で損をしてしまうか、両極端の未来も浮かび上がる。多くのファンが期待を寄せている。事務所側は大胆なだけでなく、細心のマネジメントも求められている。

※註:草なぎ剛の「なぎ」は弓へんに前の旧字体の下に刀

週刊新潮WEB取材班

2018年4月2日掲載

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