あなたは何型? 3つの「愛着スタイル」から考える「毒親」の正体と子どもへの影響

社会2018年3月22日掲載

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「毒親」という言葉が使われだしたのは2000年ごろ。近年では、「過保護のカホコ」(日本テレビ系)、「お母さん、娘をやめていいですか?」(NHK総合)、「明日の約束」(フジテレビ系)など、「毒親」を描いたテレビドラマも作られるなど、社会的な問題となっている。

「毒親」とは、過干渉、ネグレクト、暴言など、子どもの人生に悪影響を及ぼす親のことを指す。家庭内でおこる出来事ゆえに、表面化しにくいのが特徴だ。そもそも「普通」だと思っていた自分の親が、「何かおかしい」と気づくのは、社会と関わるようになった後、というケースがほとんどかもしれない。

 では「毒親」を持つ子どもたちは、どのような影響を受けるのだろうか。精神科医の水島広子氏は新著『「毒親」の正体――精神科医の診察室から』の中で、「毒親」と幼少期に形成される「愛着スタイル」の関係について解説し、「毒親」に育てられた子どもの傾向について以下のように分析する。

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 人の愛着スタイルとは、主に幼少期における「母親的役割」の人との関係性から形成される行動の様式です。「母親的」と言っても必ずしも母親を意味するのではなく、父子家庭においては父親がその役割を担いますし、他の養育者でもあり得ます。そうして子どもの心に形成される愛着スタイルは、大人になってからも、他の人との関係性の作り方に引き継がれていきます。

 愛着スタイルをわかりやすく分けると、次の三つに分類されます。

【安定型の愛着スタイル】
 自分が求めるときには「母親的役割」の人が、愛情を提供してくれる、という育ち方をした人。子どもはその安定的なつながりを「安全基地」として、冒険しながら自分の世界を広げていくことができる。もし外で何らかの失敗をしても「母親的役割」の人に温めてもらえるので、基本的には「性善説」の大人になり、情緒も安定する。困ったときには人に助けを求めることができ、助けが得られるという希望を持つことができる。

【不安型(とらわれ型)の愛着スタイル】
 自分が求めたときに「母親的役割」の人が、温かく助けてくれることもあれば、冷たく突き放されることもある、という不安定な環境で育った人。これはもちろん、「母親的役割」の人の不安定さによる。子どもからすると、常に相手の顔色をうかがわなければならない、ということになるため、こうして育った子どもは、大人になってからも「相手に見捨てられるのではないか」というような不安を感情の基本に持つようになり、相手との関係維持のために不適切な言動をとることにもつながる。

【回避型(愛着軽視型)の愛着スタイル】
「母親的役割」の人がいない、あるいはいてもあまり気にかけてくれず、情緒的やりとりがほとんどない環境で育った人。人と人との交流から得られるものを知らずに育っているため、助けを求めるという習慣がなく、大人になってからも、自らの不遇を人に相談するという発想が出てこない。

「安定型」の人の強みは、「健康的な人間関係」を知っているということです。誰かが不適切な関わり方をしてきたときに、それを「自分のせいかもしれない」「また嫌われてしまった」「機嫌を取らなければならない」などと思うのではなく、「あの人には何か問題がある」というふうに感じることができるのです。
 こうやって、相手の問題を自分に関連づけずにすませることができる、というのは生きていく上での大きな力となります。
 そして、「安定型」の人は、自らの育児も同様に行うことが多く、そこで育つ子どもも「安定型」の愛着スタイルを得ることが多いのも自然なことです。

 一方、「不安型」と「回避型」は、不安定な愛着スタイルと言われます。「毒親」によって作られる愛着スタイルは、後の2者であることが多いものです。

「不安型」の愛着スタイルの人は、「安定型」の人の反対で、相手の不適切な行動を自分に関連づけがちです。「自分が怒らせた」「自分が失望させてしまった」というような認識が、対人関係全般を不安で苦しいものにしていきます。実際に患者さんとしてお会いする方の多くが、このような「生きづらさ」で苦しんでいます。
 同時に、ひとたび誰かと親しくなると、その関係を失いたくないあまり、激しい嫉妬、束縛、支配など、かえって相手が逃げてしまうような言動をとったりします。あるいは、結局は相手を失うのだろうという不安から、特定の誰かと親しくなるのが怖くて、不特定多数の異性と一時的な関係を持つことを繰り返したり、「捨てられる前に捨てる」ということを繰り返したりします。(中略)

「回避型」の人は幼少期から、そもそも助けを求めるという習慣もないのが特徴です。他人が自分を助けてくれるなどということも考えてはいません。これは大人になっても変わらず、「相談してくれればよかったのに」というような状況でも、人に相談して助けてもらうことはまずありません。人が助けてくれるという発想がない人も多いですし、たとえそういう発想はあったとしても、「どうせうまくいかない」という諦めの方が圧倒的に強いでしょう。

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 水島氏は、本書の中で、「毒親」を、「子どもの不安定な愛着スタイルの基盤を作る親」と定義づけ、その実例を紹介。それと同時に、「不安定な愛着スタイルを持っていても、自分がそれを認識している限り、質の高い人生を送ることができます。愛着スタイルそのものを変えることはできなくても、現在の生活の質を高める対人関係を持つことはできるのです」と、毒親被害は改善できることを示している。

デイリー新潮編集部