「太平洋セメント」新社長に不死原正文氏 “親分肌”を買われ

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“秩父小野田”と“日本”が合併して誕生した、業界最大手の太平洋セメント。今年10月1日に“創立20年”を迎える前に、4月1日付で福田修二社長(66)が代表権のない会長に就く人事が発表された。後を託されるのは、不死原(ふしはら)正文取締役(63)だ。

「社長就任を妻に相談したら、“嘘でしょう”と驚かれました」

 2月27日に開かれた記者会見で、不死原氏はざっくばらんな口調でこう語った。記者会見に出席した経済誌の建設業界担当記者によれば、

「2017年3月期連結決算で、太平洋セメントの売上高は対前年比4・4%減の約7985億8800万円。本業の儲けを示す営業利益は、対前年比4・6%増の約632億3500万円で、業績は堅調です」

 セメントを含む土石製品業界の国内市場規模は、約3兆7300億円。太平洋セメントは、セメント業で約30%のシェアを占めるリーディングカンパニーだ。

「実は、東京五輪関連事業はセメント業界が予想していたほどの追い風にはなりませんでした。リニア中央新幹線に期待を寄せていますが、その後の急拡大が期待できず、積極的な海外進出や事業の多角化が求められています。不死原さんに“白羽の矢”が立ったのも、こうした課題に挑むだけの気構えと経験が買われたからでしょう」(同)

 むろん、太平洋セメントもこれまで“無為無策”のままでいたわけではなく、事業の“多角化”に努めていた。部門別の売上げ比率を見ると、主力のセメント事業が約71%、石灰石採掘などの資源事業が約10%、そして産業廃棄物処理を中心にした環境事業が約10%を占めている。

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