山中慎介を引退させた「ネリ」の損得勘定 自業自得で大損

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 3月1日に行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチで同級1位の山中慎介(35)が前王者ルイス・ネリ(23)にTKO負けした。ネリは26戦無敗と連勝記録を更新し、山中は試合後に引退を表明した。ただし、王座は空位。ネリが前日の計量で失格したからだ。

「2・3キロオーバーですから、はなから減量する気がなかった確信犯です」

 とボクシングライターが解説する。

「アメリカには興行中止に備えた保険がありますが、日本にはありません。もしこの試合にそんな保険が掛けられれば、試合を中止にして、山中を守ることができたのですが……。ネリ側はこうした日本側の事情をよく知っているため、足元を見られたのです」

 試合は4階級上の体重にあたるネリの完勝。勝ったネリは、コーナーによじ登り雄叫びを上げた。ベルトを剥奪されたにもかかわらず。

「それもそのはずです。ネリにしたら、王座を防衛するより、無敗記録を伸ばすことが、自らの価値を高めるうえで重要でしたから」

 とんだ茶番劇を観させられたファンたちは大ブーイング。事態を重く見たWBCは、ネリに無期限資格停止を言い渡した。ただ、

「処分はWBAなど他団体には及びません。彼は近くWBC以外の団体で王者に返り咲くことでしょう」

 一説によると、ネリのファイトマネーはこの階級では破格の3000万円。泥棒に追い銭だ。もっとも、長期的視野に立つと、今回のことで彼は大損をした。

「言うまでもなく、軽量級最大のマーケットは日本。その日本では最近“因縁の対決”が流行っていて、今回の一戦も昨秋、ドーピング陽性だったネリに敗れた山中のリベンジマッチでした。でも、今回の暴挙によって、日本のファンにとってネリは“ヒール”を通り越して“二度と見たくない”存在になってしまった」

 日本ボクシングコミッションも、ネリに対して1年間の招聘禁止処分を科した。

「もし、WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(24)との対戦が組まれたら、より高額なファイトマネーが見込めたのに……」

 むろん自業自得である。

週刊新潮 2018年3月15日号掲載

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