蛭子能収の受難 コスパ抜群「旅・情報番組」をヒットに導く“名旅人”を探せ!

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人気番組は土日に集中

 そうした傾向を持つ旅・散歩番組のうち、主なものを表にしてみた。一部地域で報道されていない番組も含まれている。毎回、旅や散歩をする出演者が異なったり、海外や国内の有名観光地でロケをしたりする正統派の旅行番組などは除外した。

 出演者が人気者ばかりであることに改めて驚かされる。製作費を安く抑えることが可能だから、ギャラの高いトップクラスの芸能人でも起用できるのだろう。

 さらに興味深いのは、「有吉~」と「タカトシ」は同じ枠のため1番組と数えても、全12番組のうち7番組が土日に集中していることだ。

 相当数の視聴者が、休日の午後から夜にかけて、“ゆるーい”旅・散歩番組を楽しんでいる光景が浮かび上がる。プロデューサー氏の指摘する60代だけでなく、ファミリー向けの番組としても機能しているに違いない。確かに今のテレビ界を考えたら、数少ない“鉱脈”の1つだろう。

制作陣が必死に探す“俳優枠”

 現在、テレビ制作側が「喉から手が出るほど欲しい」(前出のプロデューサー)のが、散歩や旅が似合う“俳優”だという。確かに上の表にも温水洋一(53)や田中要次、火野正平(68)といった名前が並んでいる。

 そもそも思い出してみれば、こういうタイプの番組が注目された経緯の1つに、故・地井武男(1942~2012)の「ちい散歩」(テレビ朝日系)の成功が挙げられる。

 亡くなった俳優の活躍を振り返ってみよう。大杉漣(1951~2018)も13年からBSフジで「大杉漣の漣ぽっ」に出演していた。またレギュラー番組こそなかったが、阿藤快(1946~2015)も「ぶらり途中下車の旅」(日本テレビ系列)や「遠くへ行きたい」(同)の出演が人気を呼んだ。そして45歳以上が「遠くへ行きたい」と聞けば、渡辺文雄(1929~2004)を思い出すかもしれない。確かに“俳優枠”は存在するのだ。

「私の独断ですが、機会があれば“俳優枠”としてお仕事を依頼したいのは船越英一郎さん(57)と柳沢慎吾さん(56)です。芸人さんならテレビ埼玉の散歩番組『いろはに千鳥』が人気の千鳥さんは手堅いでしょうし、個人的にダークホース的な存在だと思っているのが、ずんの飯尾和樹さん(49)です。どの方も、ロケ中で出会う様々な人とコミュニケーションを持ちながら、面白いリアクションで番組を引っ張ってくれるはずです」(同・プロデューサー)

 制作陣の並々ならぬ努力と情熱には敬意を表したい。とはいえ、こうして今日も、いつかどこかで見たような類似のフォーマットに、出演者だけは目新しい旅・散歩番組が放送されるということになる。

 散歩する阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら見なきゃ損々――と果たして言えるのか、お茶の間の意見も激しく割れそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2018年3月13日掲載

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